岡本綺堂 『半七捕物帳』 「そこで、その蝋燭の一件だが……」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「で、その蝋燭の一件だけど……」
「それに関して何か聞いたことあるか?」
「2日の晩に初めて聞きました……。それまで誰もそんな話してませんでした」
「そうか。じゃあ、今日はまぁこのくらいにしとこう。お母さんにもあまり心配しないように言ってくれ」
「ありがとうございます」
「宗兵衛って男が来ても、今日のことは絶対に喋るなよ。余計なことを言うと面倒なことになるぞ」
「ねぇ、親分。あの女は旦那って奴に通じてたりしませんかね?」
「なに、奥山の茶屋の女が金目当てで付き合ってる旦那だ。惚れてるわけじゃねぇよ。でも、宗兵衛って奴を早く見つけ出さなきゃなぁ。野郎、女房にひどい目に遭わされたな」
「意趣返しですかね?」
「意趣返しよ」
「亭主の悪事がばれるように、女房は金の蝋燭を抱えて身を投げたんだ」
「だったら訴えればいいのに……」
「そっちには訳があるんだろう。訴えれば自分も罰せられることになる。自分は死んでしまって、残った亭主を磔刑か獄門にでもしてやろうって魂胆だろうな。女の恨みは怖いものだ。お前も気をつけろよ」
「はは、俺は大丈夫だ」
「そうなると、次から次に追い掛けが発生するかもしれん」
「ちょっと早いけど、飯を用意しておこう」

原文 (会話文抽出)

「そこで、その蝋燭の一件だが……」
「それに就いて何か聞いたことがあるかえ」
「二日の晩に初めて聞いたので……。それまでに誰もそんな話をしたことはありませんでした」
「そうか。じゃあ、きょうはまあこの位でよかろう。おっ母にもあんまり心配するなと云って置け」
「ありがとうございます」
「宗兵衛という旦那が来ても、きょうのことは決してしゃべっちゃあならねえ。詰まらねえおしゃべりをすると飛んだ係り合いになるぞ」
「ねえ、親分。あの女は旦那という奴に内通しやあしませんかね」
「なに、奥山の茶屋女が慾得ずくで世話になっている旦那だ。心から惚れているわけでもあるめえ。それにしても、宗兵衛という奴を早く引き挙げなけりゃあならねえ。野郎め、女房にひどい意趣返しをされたな」
「意趣返しだろうか」
「意趣返しよ」
「亭主の悪事が露顕するように、女房は金の蝋燭を抱いて身を投げたのだ」
「そんならむしろ訴えて出ればいいのに……」
「それにゃあ訳があるのだろう。訴えて出れば自分もお仕置にならなけりゃあならねえ。自分はひと思いに死んでしまって、あとに残った亭主を磔刑か獄門にでもしてやろうという料簡だろう。女に怨まれちゃあ助からねえ。おめえも用心しろよ」
「はは、わっしは大丈夫だ」
「都合によっちゃあ、それからそれへと追っ掛けにならねえとも限らねえ」
「刻限はちっと早えが、腹をこしらえて置こう」


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