岡本綺堂 『半七捕物帳』 「おや、幸さん。急にお暑くなったようでござ…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「おや、幸さん。急に暑くなりましたね。今日はここで何かお見張りですか?」
「いや、見張りってわけじゃねぇけど。体が暇だから、酔っ払いみたいに、ここに来て釣りしてるんだ。それより、お光ちゃんの方が忙しいだろうに、何しに出てきたんだ。お前も色男を釣り上げに来たのか?」
「あら、冗談でしょ。両国橋が修理中だっていうから、様子を見に来たんですよ」
「ってことは、世を忍ぶ仮の名前で、占い師に手相を見てもらって……。それから両国の川でお経を唱えて……。これからどこのお寺にでも参拝に行くのかい?はは、若いのに信心深いね」
「おい、お光。正直に言えよ。なんでこの川に来て拝んでたんだ。あの世で良い目に合うように流し素麺でも流したのか?それとも男をたらし回した罪ほろぼしかい。おい、ただの人が聞いてるんじゃねぇんだぞ。俺が聞いてるんだ。正直に言えよ」
「こいつ、しつこい女だな。おい、じいさん、縄を持ってこい。この悪魔を縛り上げてやるから……」

原文 (会話文抽出)

「おや、幸さん。急にお暑くなったようでございますね。きょうはこちらで何かのお見張りですか」
「なに、見張りというわけでもねえ。あんまりからだが閑だから、野幇間とおなじように、ここらへ出て来て岡釣りよ。そういう俺よりも、お光ちゃんこそ忙がしいからだで、ここらへ何しに出て来たのだ。おめえも色男の岡釣りかえ」
「ほほ、御冗談でしょう。両国橋が御普請だというので、どんな様子か拝見に出て来たんですよ」
「と云うのは、世を忍ぶ仮の名で、占い者にお手の筋を見て貰って……。それから両国の川へ行ってお念仏を唱えて……。これから何処へかお寺参りにでも行くのかね。はは、お若けえのに御奇特なことだ」
「おい、お光。正直に云えよ。おめえは何でこの川へ来て拝んでいたのだ。後生願いに放し鰻をするほどの皺くちゃ婆さんでもあるめえ。それとも男を散々だました罪亡ぼしかえ。おい、唯の人が訊くのじゃあねえ。おれが訊くのだ。正直に云えよ」
「こいつ、わる強情な女だな。おい、爺さん、縄を持って来い。この阿魔をふん縛ってしまうから……」


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