GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』
現代語化
「つまり、町の番太郎は川越出身で、弟はジロウベエっていうんですか」
「実はそのジロウベエが江戸で奉公したいって言って、川越から3月の節句に出てきたんだそうです……。それが5日から行方がわからなくなったんです」
「番太郎の兄さんの家にいたんですね」
「そうです。兄を頼ってきたので、ヨウサクからこちらのお店で使ってくれないかって話があったので、とりあえず主人に相談してみようと返事をして置くと、その本人がすぐに姿を隠してしまったので、兄のヨウサクもひどく心配してるんです」
「あなたはそのジロウベエって男に会いましたか」
「表向きには名乗り合いはしませんが、番太郎の店でいるのをチラッと見たことがあります。年は19くらいですが、色白で顔立ちがキリッとした、田舎者らしくない男で、あれなら役に立ちそうだなと思ってましたが……」
「国に帰ったという知らせもありませんか」
「知らせも無いそうです。まあヨウサク夫婦も忙しいですから、心配するばかりで、別に聞き合わせてやるとかそういうことはしてないみたいです……」
原文 (会話文抽出)
「御承知でもありましょうが、この町内の番太郎に要作というのが居ります。女房はお霜といいまして、夫婦ともに武州川越在の者で、八年ほど前からここの番太郎を勤めて居りますが、二人ながら正直者で町内の評判も宜しゅうございます。その要作に次郎兵衛という弟がありまして……」
「それじゃあ何ですかえ。町内の番太郎は川越の者で、弟は次郎兵衛というのですかえ」
「実はその次郎兵衛が江戸へ奉公したいと云って、川越から三月の節句に出て来ましたそうで……。それが五日の日から行方が知れなくなりました」
「番太郎の兄貴の家にいたのですね」
「そうでございます。兄を頼って来ましたので、要作から手前どもに話がありまして、こちらのお店で使ってくれないかという事でしたから、ともかくも主人に相談してみようと返事をして置きますと、その本人がすぐに姿を隠してしまいましたので、兄の要作もひどく心配して居ります」
「お前さんはその次郎兵衛という男に逢いましたかえ」
「表向きに名乗り合いは致しませんが、番太郎の店にいるのをちらりと見たことがございます。年は十九だそうですが、色のあさ黒い、眼鼻立ちのきりりとした、田舎者らしくない男で、あれなら役に立ちそうだと思って居りましたが……」
「国へ帰ったという知らせも無いのですか」
「知らせも無いそうです。尤も要作夫婦も忙がしい体ですから、ただ心配するばかりで、別に聞き合わせてやると云うこともしないようですが……」