岡本綺堂 『半七捕物帳』 「芝居の晩にはおまえさんも無論見物に行って…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「芝居の夜にはあなたももちろん見物に行かれたんですよね」
「はい。見物していました」
「楽屋には大勢詰めかけてたんでしょうね」
「楽屋が狭くて、8畳間に10人くらい、離れの4畳半に2人。役者はそれくらいでしたが、その他手伝いがいっぱいいて、衣装や鬘がそこら中にあって、足の踏み場もないくらい混んでいました。でもお客さんは町人ばかりだったので、大小の刀なんて置いてあるわけがありません。最初は小道具を配った時に、かくたろうも1つ1つ確認したそうですから、その時には間違いはなかったそうです……。舞台に出る直前に取り違えられたか、入れ替えられたかだと思います。誰がそんなことをしたのか、全く見当がつかなくて困っています」
「なるほど」

原文 (会話文抽出)

「芝居の晩にはおまえさんも無論見物に行っておいでになったんでしょうね」
「はい。見物して居りました」
「楽屋には大勢詰めていたんでしょうね」
「なにしろ楽屋が狭うございまして、八畳に十人ばかり、離れの四畳半に二人。役者になる者はそれだけでしたが、ほかに手伝いが大勢で、おまけに衣裳やら鬘やらがそこら一ぱいで、足の踏み立てられないような混雑でございました。しかしみんな町人ばかりでございますから、そこに大小などの置いてあろう筈はないのでございます。最初にめいめいの小道具類を渡されました時に、角太郎も一々調べて見ましたそうですから、その時には決して間違って居りませんので……。いよいよ舞台へ出るという間ぎわに多分取り違ったか、掏り替えられたか。一体誰がそんなことをしたのか、まるで見当が付きませんので困って居ります」
「なるほど」


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