岡本綺堂 『半七捕物帳』 「親分、妙な写真を見つけましたね」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「親方、変な写真見つけましたね」
「これはかにのお角って女だ」
「こいつがハリソン家に自由に出入りしてるとは知らなかった。こんなのが好き放題して、裸の写真まで撮らせてるんじゃ、他に何をしてるかわかんねえ。この事件にはお角が関与してるみたいだ。それからシマダって奴……。多分、島に田を書くんだろう。こいつも何かの関係者じゃねえかな。俺は死体を見てねえから、ハッキリしたことは言えねえが、額に犬って字を書かれて大川に投げ込まれたのは、このシマダって奴かも知れねえ」
「ハリソンの犬をむごい殺し方した奴は誰でしょうね」
「相手は犬だ、何もそんなにむごたらしく殺す必要はねえ。何かその犬によっぽど恨みがあったんだろ」
「犬をなぶり殺しにした上で、シマダの額には犬って書く……。この事件には犬が関係してるのは間違いないが……」
「去年の団子坂はキツネ使いだったけど、今回は犬ですね」
「四国には犬神使いってのがいるらしいけど、そんな者が横浜まで来るわけねえだろう」
「ま、黙って、ちょっと考えさせてくれ」
「さあ、これからだ」
「シマダもお角も神奈川ってだけで、居場所がわかんねえんじゃちょっと困る。横浜にはシマダの他に、写真屋をやってる奴がいるはずだ。そいつらに聞けばわかるだろう……」
「そうです、そうです」
「横浜にも最近は写真をやってる奴が2、3人いるはずだ。誰かに聞けばわかるだろう。こんな暑いのに大勢が走り回る必要はねえ。これは地元の俺に任せて、お前たちはいつもの上州屋で涼んでろ」
「ま、横になって昼寝でもしておけよ。夕方までには帰ってくる」

原文 (会話文抽出)

「親分、妙な写真を見つけましたね」
「これは蟹のお角という女だ」
「こいつがハリソンの家へ出入りしていようとは思わなかった。こんな奴が出這入りをして、素っ裸の写真なんぞを撮らせるようじゃあ、まだほかに何をしているか判らねえ。この一件にはお角が係り合っているらしい。それからシマダという奴……。多分、島に田を書くのだろう。こいつも何かの係り合いがありそうだ。おれは死骸を見ねえから、確かなことは云えねえが、ひたいに犬という字を書かれて大川へほうり込まれたのは、この島田という奴かも知れねえ」
「ハリソンの犬をむごく殺した奴は誰でしょうね」
「相手は犬だ、何もそんなにむごたらしく殺すにゃ当らねえ。何かその犬によっぽどの恨みがあると見える」
「犬をなぶり殺しにした上に、島田の額には犬と書く……。この一件には犬が絡んでいるに相違ねえが……」
「去年の団子坂は狐使いでしたが、今度は犬ですね」
「四国にゃあ犬神使いというのがあるそうだが、そんな者が横浜まで出て来やあしますめえ」
「まあ、黙って、少し考えさせてくれ」
「さあ、これからだ」
「島田もお角も神奈川とばかりで、その居どころが判らねえじゃあ少し困る。横浜には島田のほかにも、写真を始めている奴があるだろう。それに訊いたら判りそうなものだが……」
「そうです、そうです」
「横浜にも此の頃は写真を撮る奴が二、三人いる筈です。誰かに訊けば判るでしょう。この暑いのに大勢が駈けまわる事はありません。これは土地っ子のわっしに任せて、おまえさん達はいつもの上州屋で涼んでいて下さい」
「まあ、横になって昼寝でもしておいでなせえ。夕方までには帰って来ます」


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