GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』
現代語化
「いえ、屋敷内のことについては、お嬢さんは別に何も言いませんでした」
「すいませんが、私は植木屋の長五郎です」
「親戚に不幸がありまして、昨晩から手伝いに行ってましたが、さっきちょっと帰ってまいりました」
「さっきから奥さんと話していましたが、今回の一件には何か複雑な事情があるようですね……」
「そのことについて、親分さん。こうなれば正直に申し上げますと……」
「こんなことを女房に聞かせると、余計な心配をするでしょうし、女は口が軽いのでまた何のおしゃべりをするかわかりませんから、実は女房にも隠していましたが、去年の10月、娘が寺参りついでにここへ来た時に、女房はちょうど留守で、私と2人きりでおしゃべりして帰ったのですが、その時に娘の口からちらっと聞いたことがございまして……」
「むむ」
「どんなことを聞かされたんだ?」
「別に大したことはありませんが……」
「ここであなたが何を言おうとも、私は聞いて流すだけです。あなたはもちろん、屋敷にも絶対に迷惑はかけません。遠慮なく話してください」
「はい」
「いつまでも焦らせないでください。私も冗談や洒落で訊いてるわけじゃないですから、そのつもりで答えてください」
原文 (会話文抽出)
「その日はまあそれとして、その前に娘から何か聞き込んだことは無かったかえ」
「いえ、お屋敷内のことに就きましては、娘は別になんにも申しませんでした」
「いらっしゃいまし。わたくしは植木屋の長五郎でございます」
「親類に不幸がございまして、昨晩から手伝いに参って居りまして、只今ちょいと帰って参りました」
「今もおかみさんと話していたところだが、今度の一件について何か入り組んだ訳がありそうだが……」
「それに就きまして、親分さん。もう斯うなれば正直に申し上げますが……」
「こんなことを女房に云って聞かせますと、余計な心配も致しますし、女は口の軽いもので又どんなおしゃべりをしないとも限りませんから、実は女房にも隠して居りましたが、去年の十月、娘が寺参りながらここへ参りました時に、女房はちょうど留守でございまして、わたくしと差し向かいで暫く話して帰りましたが、その時に娘の口からちらりと聞いたことがございますので……」
「むむ」
「どんなことを聞かされたね」
「別に取り留めた事でもないのですが……」
「ここでおめえが何を云おうとも、おれはみんな聞き流しにする。おめえは勿論、屋敷へも決して迷惑はかけねえ。遠慮無しに話してくれ」
「はい」
「いつまでも焦らしていちゃあいけねえ。おれだって洒落や冗談に訊いているのじゃあねえから、そのつもりで返事をしてくれ」