GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』
現代語化
「さあ」
「船が古くなって、底が傷んだんだろうって言う人もいるんです。確かに古くはなってきてるけど、水が漏るほどじゃありませんよ。親方はうっかり余計なこと言うなと私に言ってるので、俺は黙ってますけど。どうもこれは誰かがやったと思うんです……」
「どんなことをやったんだ?」
「誰かが削ったんです。醤油樽の飲み口みたいにはなってないけど、船底のちょっと腐りかけてるところを、虫に食われたように壊して、適当に埋め木でもしたんでしょう」
「そんなこと、素人にはできないだろ。千太の奴がやったのかな。浅井家の人たちを砂村に送り届けて、帰ってくるのを待ってる間に、千太が何かやったんだろう。それで奴は逃げたんだな」
原文 (会話文抽出)
「おれは素人でわからねえが、どうして水が漏ったのだろう。やっぱり底が傷んでいたのかな」
「さあ」
「船が古くなって、底が傷んだのだろうというのですがね。成程、古くはなっているが、水が漏るほどの事はありませんよ。親方はうっかりした事をしゃべるなと云うので、わっしは黙っていますがね。どうもこりゃあ誰かが仕事をしたのだろうと思うのですが……」
「どんな仕事をしたのだ」
「誰かが抉ったのですよ。醤油樽の呑口のようにはなっていねえが、船底の少し腐れかかっている所を、むしったように毀して置いて、いい加減に埋め木でもして置いたのでしょう」
「そんなことは素人に出来る筈がねえ。千太の野郎がやったのかな。浅井の人たちを砂村へ送りつけて、その帰るのを待っているあいだに、千太が何か仕事をしたのだろう。それで野郎、逃亡たのだな」