岡本綺堂 『半七捕物帳』 「お信というのはどんな女だ、容貌はいいのか…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「お信ってどんな女だ?容姿はいいか。頭はいいか?」
「容姿は悪くないですね。十人並みよりちょっと上でしょうか。性格も真面目なようです」
「この家に子供はいないので、お信に婿を取らせようとしてたみたいですが、こうなっちゃったら仕方ないです。親方も奥さんもがっかりしてますよ」
「それは気の毒だな。で、お信が暇をもらうのを嫌がったのはなぜか?」
「よくわかりませんが、屋敷の奥さんがすごく気に入っててくれてるそうで、こんな良い屋敷はないっていつも言ってたので、そんな理由で暇をもらう気にはならなかったんでしょう。本当にあの屋敷の方々はみんないい人で、若殿様は優しい方だし、お嬢様もおとなしい方です」
「そんなに良い人ばっかりか」
「みんな良い人ですよ。それに若殿様はここらでも評判の美男子で、去年元服されましたけど、前髪姿の時は忠臣蔵の力弥か二十四孝の勝頼を見るようで、ここから船に乗られる時は、道行く女が立ち止まって眺めてるくらいでした」
「そんな若殿様がいると、お信も暇が取りづらかったんだろうな」
「それで、金八、今日は頼みがあって来たんだ。1隻の船を見せてくれ」
「船はあそこに停泊させてあります」

原文 (会話文抽出)

「お信というのはどんな女だ、容貌はいいのか。馬鹿か、怜悧か」
「容貌は悪い方じゃありません。十人並よりちっといい方でしょうね。人間もなかなかしっかりしているようです」
「ここの家にゃあ子供がないので、お信さんに婿でも取らせるつもりらしかったのですが、こうなっちゃあ仕様がありません。親方もおかみさんもがっかりしていますよ」
「そりゃあ気の毒だな。そこで、お信はなぜ暇を取るのを忌だと云うのだ」
「よくは知りませんが、屋敷の奥さまが大そう眼をかけて下さるそうで、あんないいお屋敷は無いと始終云っていましたから、そんなことで暇を取る気になれなかったのでしょう。まったくあの屋敷の方々はみんないい人で、若殿さまは優しいかたですし、お嬢さまもおとなしいかたですからね」
「そんなにいい人揃いか」
「みんないい人ですよ。それに若殿さまはここらでも評判の綺麗なかたで、去年元服をなさいましたが、前髪の時分にゃあ忠臣蔵の力弥か二十四孝の勝頼を見るようで、ここから船にお乗りなさる時は、往来の女が立ちどまって眺めているくらいでした」
「そういう若殿さまがいるので、お信も暇が取れなかったのだろう」
「そこで、金八、きょうは御用で来たのだ。一件の船というのを見せてくれ」
「船はそこに繋いであります」


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