岡本綺堂 『半七捕物帳』 「今度の木挽町には訥升が出ますよ。助高屋高…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「今度の木挽町では訥升が出るよ。助高屋の息子の高助で、前は源平って言ってたけど、大阪から帰ってきて、光秀の妹と矢口の舟を演じてる。3、4年見ないうちに大人になって、矢口の舟はなかなかうまかったな。そうそう、矢口といえば、あの“神霊矢口渡”って芝居にあるようなことはもちろん嘘だけど、矢口渡の船頭が足利方に頼まれて、渡船の底をくり抜いて、新田義興の主従を川に沈めたっていうのは本当なのかな?」
「そりゃ本当でしょうね。太平記にも載ってるし……」
「子供向けにある、カチカチ山の狸の土舟みたいな話だね。その矢口渡に似たような事件があるんだ……。たぶん太平記か芝居から思いついたんじゃないかな」
「矢口渡に似たような事件……。それにはあなたも関わったんですか?」
「関わったよ」

原文 (会話文抽出)

「今度の木挽町には訥升が出ますよ。助高屋高助のせがれで以前は源平と云っていましたが、大阪から帰って来て、光秀の妹と矢口渡のお舟を勤めています。三、四年見ないうちに、すっかり大人びて、矢口のお舟なぞはなかなかよくしていました。いや、矢口と云えば、あの神霊矢口渡という芝居にあるようなことは勿論嘘でしょうが、矢口渡の船頭が足利方にたのまれて、渡し舟の底をくり抜いて、新田義興の主従を川へ沈めたというのは本当なんでしょうね」
「そりゃあ本当でしょう。太平記にも出ていますから……」
「子供の話にある、カチカチ山の狸の土舟というわけですね。その矢口渡に似たような事件があるんですが……。恐らく太平記か芝居から思い付いたんじゃないでしょうか」
「矢口渡に似たような事件……。それにはあなたもお係り合いになったんですか」
「かかり合いましたよ」


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