岡本綺堂 『半七捕物帳』 「それから美濃屋の方を調べたか」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「美濃屋の方は調べた?」
「調べました。でも、主人の次郎吉っていうやつは、女房に逃げられるような遊び人なので、玩具屋の店は3年ほど前につぶして、今は田町から引っ越して、聖天の裏町で風車や蝶々を売ってるそうです。29歳で、見た目は色白で痩せてて、小洒落たやつだとは聞きましたけど、俺が行った時は商売に出かけて留守でした」
「新しい女房はいないのか?」
「独り身です」
「でも、近所の噂では、2ヶ月に1回くらい、年増の女がコソコσο訪ねて来るそうです。それが前の女房のお福じゃないかって言われてます。何しろ、その女が来ると、その後しばらく次郎吉のやつは酒飲んでブラブラしてるそうだから、その女がお小遣いを運んでくるんだろうな」
「いい稼ぎだな。お前らも羨ましいだろう」
「その女はたぶん前の女房だろうな。親たちが反対して無理矢理別れた。女は未練があったから、奉公先を抜け出して時々逢いに来る。でも2ヶ月に1回くらいは我慢強いな。お福って女もバカじゃないんだな」
「そうでしょうね」
「で、その次郎吉って奴は……。近所の評判はどうだ?」
「褒められてもいないけど、悪くも言われてない。どっちつかずらしいですね」
「どっちつかずじゃ困るな。白雲堂にでも占ってもらわないとわからないな」
「やあ」
「武士の約束」

原文 (会話文抽出)

「それから美濃屋の方を調べたか」
「調べました。ところが、亭主の次郎吉という奴は、女房に逃げられるような道楽者だけに、玩具屋の店は三年ほど前に潰してしまって、今じゃあ田町を立ち退いて、聖天下の裏店にもぐり込んで、風車や蝶々売りをやっているそうです。年は二十九で、見かけは色の小白い、痩形の、小粋な野郎だということですが、わっしがたずねて行った時にゃあ、商売に出ていて留守でした」
「その後に女房は持たねえのか」
「ひとり者です」
「だが、近所の者の噂を聞くと、ふた月に一度ぐらい、年増の女がこっそりたずねて来る。それが先の女房のお福じゃあねえかと云うのです。なにしろ、その女が来ると、そのあと当分は次郎吉の野郎、酒なんぞ飲んでぶらぶらしていると云いますから、その女が小遣い銭でも運んで来るに相違ありませんよ」
「いい株だな。おめえ達も羨ましいだろう」
「その女は恐らく先の女房だろうな。親たちが不承知で無理に引き分けられた。女にゃあまだ未練があるので、奉公さきから抜け出して時々逢いに来る。しかしふた月に一度ぐらいはなかなか辛抱強い。お福という女も馬鹿じゃあねえと見えるな」
「そうでしょうね」
「そこで、その次郎吉という奴だが……。近所の評判はどうだ」
「褒められてもいねえが、悪くも云われねえ。まあ中途半端のところらしいようですね」
「中途半端じゃあ困るな。白雲堂にでもうらなって貰わねえじゃあ判らねえ」
「龍」
「武士の誓言」


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