岡本綺堂 『半七捕物帳』 「なるほど、そんな理窟ですかえ」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「なるほど、そういう理屈ッスか」
「でも、なんでそのお丸って女がそんな大それたことをしでかしたんですかね?」
「それはまだはっきりわかんねえけど、俺の考えだと多分そのお丸って女は、上州屋の息子と付き合ってて、つまり嫉妬から筆屋の娘を殺そうとしたんだと思う。でも、上州屋に嫁に行くのは妹の方で、殺されたのは姉の方だ。ここがちょっと理屈に合わないように思われるけど、お丸って女の頭の中では、そこまで深く考えないで、とにかく売り物の筆に毒を塗っておけば、妹の娘が舐めるだろうと思い込んでたのかもしれねえ。若い女って案外無考えだし、それに恋が盲目になってたから、それで仇が討てると思ってたんだろう。メンドくせえことしやがったな。人間2人も殺してどうするつもりだったんだか、考えると気の毒にもなるよ」
「そうすると、その薬屋で働いてる弟も調べなきゃいけねえッスね」
「当たり前だ。俺が今すぐ行って来る」
「ここで宗吉って奉公人さんいますか?」
「はい、おります。今奥の蔵に行っておりますので、しばらくお待ちください」
「おい、お前は宗吉か。ちょっと番屋まで来てくれ」
「はい」

原文 (会話文抽出)

「なるほど、そんな理窟ですかえ」
「それにしても何故そのお丸という女が途方もねえことを巧んだのでしょうかね」
「それはまだ確かに判らねえが、おれの鑑定じゃあ多分そのお丸という女は、上州屋の伜と情交があって、つまり嫉妬から筆屋の娘を殺そうとしたんだろうと思う。だが、上州屋へ嫁に行くというのは妹の方で、殺されたのは姉の方だ。ここが少し理窟に合わねえように思われるが、お丸という女の料簡じゃあ、そこまでは深く考えねえで、なんでも売り物の筆に毒を塗っておけば、妹の娘が舐めるものと一途に思い込んでいたのかも知れねえ。年の若けえ女なんていうものは案外に無考えだから、おまけにもう眼が眩んでいるから、それできっと仇が打てるものと思っていたんだろう。厄介なことをしやあがった。人間ふたりを殺してどうなると思っているんだか、考えると可哀そうにもなるよ」
「そうなると、その生薬屋に奉公している弟というのも調べなければなりませんね」
「勿論だ。おれがすぐに行って来る」
「こちらに宗吉という奉公人がいますかえ」
「はい、居ります。唯今奥の土蔵へ行って居りますから、しばらくお待ちください」
「おい、おめえは宗吉というのか。ちょいと番屋まで来てくれ」
「はい」


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