岡本綺堂 『半七捕物帳』 「そこで、その坊主には別に書置もなかったら…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「そこで、その坊主には別に遺書もなかったらしいか?」
「そんな話は別に聞きませんでした。後が面倒だと思って、何も書かなかったんでしょう」
「そうかもしれない。それから妹の方には別に変わった話はねえのか?」
「妹は先月から縁談があるそうです。馬道の上州屋という質屋の息子がひどく妹の方に惚れ込んでしまって、300両の支度金でぜひ嫁にもらいたいって、しきりに言ってるんです。300両もほしいが看板娘を連れて行かれるのも困る。痛し痒しというわけで、親たちもまだ迷ってるうちに、婿取りの姉の方がこんなことになってしまったから、妹を嫁に出すわけにはいきませんよね。どうなりますかね」
「妹に内緒の愛人なんかいなかったのか?」
「さあ、それは分かりませんね。そこまではまだ調べてませんでしたが……」
「面倒でも、そこをもう一度よく調べてくれ」

原文 (会話文抽出)

「そこで、その坊主には別に書置もなかったらしいか」
「そんな話は別に聞きませんでした。あとが面倒だと思って、なんにも書いて置かなかったんでしょう」
「そうかも知れねえ。それから妹の方には別に変った話はねえのか」
「妹は先月頃から嫁に行く相談があるんだそうです。馬道の上州屋という質屋の息子がひどく妹の方に惚れ込んでしまって、三百両の支度金でぜひ嫁に貰いたいと、しきりに云い込んで来ているんです。三百両の金もほしいが看板娘を連れて行かれるのも困る。痛し痒しというわけで、親達もまだ迷っているうちに、婿取りの姉の方がこんなことになってしまったから、妹をよそへやるという訳には行きますめえ。どうなりますかね」
「妹には内証の情夫なんぞ無かったのか」
「さあ、そいつは判りませんね。そこまではまだ手が達きませんでしたが……」
「面倒でも、それをもう一度よく突き留めてくれ」


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