岡本綺堂 『半七捕物帳』 「あれから鮎川のあとを追って行くと、竹屋の…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「それから鮎川のあとを追って行くと、竹屋の渡しを渡って今戸に渡って、それから花川戸の方向にぶらぶら歩いてくると、向こうから米吉のやつが来て、2人がばったり出くわしました。これは面白いことになったと思って、通りのど真ん中で立ち話。これは困った。昼間の通りだから近づけない。遠くから様子を伺うだけでしたが、2人の様子がただ事じゃねえ。何かやり取りしてるみたいに見えたけど、とにかく人通りが多い場所だから、2人もずっとやり取りもできないので、まあ適当に別れたようです。鮎川はそれから天神下に行って、例の藤屋に入りました」
「その鮎川は昨夜から屯所に戻ってないらしい」
「やつ、泊まってやがるのか? それともお房を連れ出して、駆け落ちでもしたか?」
「どうしよう。すぐに藤屋に行ってみますか?」
「そうだ、駆け落ちされちゃ困る。かまわないから、見つけ次第に捕まえろ。小隊長から頼まれてるんだ。早く行け」
「親分。藤屋のお房は昨夜から帰ってないそうです」
「鮎川と一緒にか?」
「そうです。明るい頃から鮎川は飲みに来てて、日が暮れて屯所に戻る。お房はそれを送って一緒に出て行って、それっきり帰ってないそうです」
「困ったな」

原文 (会話文抽出)

「あれから鮎川のあとを追って行くと、竹屋の渡しを渡って今戸へ越して、それから花川戸の方角へぶらぶらやって来ると、むこうから米吉の野郎が来て、両方がばったりと出逢いました。こりゃあ面白くなったと思うと、往来のまん中で立ち話、これにゃあどうも困りました。真っ昼間の往来だから近寄ることが出来ねえ。ただ遠くから様子を窺っているだけのことでしたが、二人の様子が唯でねえ。なにか捫著でもしているらしい風に見えましたが、なにしろ人通りの多い所だから、二人もいつまで捫著してもいられねえので、まあいい加減に別れてしまったようです。鮎川はそれから天神下へ行って、例の藤屋へはいり込みました」
「その鮎川はゆうべから屯所へ帰らねえそうだ」
「野郎、泊まり込んでいやがるのか。それともお房を引っ張り出して、駈け落ちでもしやあがったかな」
「どうしましょう。すぐに藤屋へ行ってみますか」
「そうだ、駈け落ちなんぞをされると困る。構わねえから、見つけ次第に押さえてしまえ。小隊長から頼まれているのだ。早く行ってくれ」
「親分。藤屋のお房はゆうべから帰らねえそうです」
「鮎川と一緒か」
「そうです。明るいうちから鮎川は飲みに来ていて、日が暮れて屯所へ帰る。お房はそれを送りながら一緒に出て行って、それっきり帰らねえそうですよ」
「困ったな」


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