岡本綺堂 『半七捕物帳』 「わたしはお前さんの店の者に聞いて知ってい…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「店の者に聞いたんだけど、顔と首に結構な怪我をしといて、家帰った時は血も止まってたんだって? どこで手当てしたの?」
「浅草に行って、駕籠屋に頼んで水を汲んでもらいました」
「駕籠屋に頼んだかもしれないけど、荒物屋でも水を汲んでもらえなかったの?」
「なんで隠すんですか? そこが分からないんですよ。あの辺で夜遅くまで起きてるのは荒物屋でしょ? だから私は昨日、何か知らないかって聞きに行ったら、最初はごまかしてたけど、結局白状して、奥さんがあなたから1朱もらったって話までしましたよ。その1朱は財布に入れてたんでしょ?」
「それは財布じゃなくて紙入れに入れてました。財布は紐で首にかけてました」
「そうなんだ。で、さっき言った通り、なんで荒物屋の夫婦に黙ってろって言ったのよ?」
「そんなことが外に漏れたら恥ずかしいと思って……。でも財布まで無くしちゃったら内緒にもできなくて、お上に迷惑かけて申し訳ありません」

原文 (会話文抽出)

「わたしはお前さんの店の者に聞いて知っているが、おまえさんは顔や首にはそれほどの怪我をしながら、家へ帰って来た時には血も大抵止まっていたというが、どこで血止めの手当てをして来なっすたえ」
「浅草へまいりましてから、駕籠屋にたのんで水を汲んで来て貰いました」
「駕籠屋にも頼んだかも知らねえが、荒物屋でも水を汲んで貰やあしませんでしたか」
「なぜそれを隠しなさる。それが私に判らねえ。あの近所で夜遅くまで起きているのは荒物屋だから、わたしはきのうあすこへ行って何か心当りのことはなかったかと訊くと、はじめはあいまいなことを云っていたが、しまいにはとうとう白状して、かみさんがお前さんに一朱もらったことまで話しましたよ。その一朱は財布に入れてあったんじゃありませんか」
「それは紙入れに入れてありましたのでございます。財布は紐をつけて頸にかけて居りました」
「そうですか。そこで今云う通り、なぜ荒物屋の夫婦に口止めをしなすったんだ」
「そんなことが世間にきこえましては外聞が悪いとも存じまして……。しかし財布まで紛失いたしましては、もう内分にも相成りませぬので、お上にお手数をかけて恐れ入ります」


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