GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』
現代語化
「縄張り違うかもだけど、ちょっと頼んでみる。こういうのはお前が適任だ。屋敷の仕事は面倒だから、誰でもってわけにもいかないんだよね。寒い中大変だけど、頼むよ」
「分かりました。なんとかやってみます」
「天狗がさらうとか、今は流行らないよな」
「何か裏がありそうだ。調べたら面白いことが分かるかもな」
「そうかもしれないな。とりあえず田町に行って、御用人に会おう」
「ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
「いや、こちらこそ申し訳ない」
「謎だらけで、困ってるんです。正体不明の死体を捨てれば済む話なんですけど、主人が納得しなくて、身元を調べて引き渡せって言うんです。でも手がかりがなくて、死体がどうやって屋敷の屋根に投げ込まれたのかも不明で、困り果ててます。おたくなら筋道を辿って調べてくれますか?」
「小山さんからもお話があったので、協力します。で、死体はどこですか? お寺に預けましたか?」
「いや、今、私の長屋に置いているので、見てって下さい」
原文 (会話文抽出)
「よく判りました。では、なんとか然るべきようの取り計らい方を致しましょう」
「まずそういう訳なんだから、縄張り違いかも知れねえが、一つ踏み込んでやってみてくれ。こういう仕事はお前にかぎる。いや、おだてるんじゃねえが、屋敷の仕事はちっと面倒だから誰でも好いというわけにも行かねえ。寒いところを御苦労だが、なにぶん頼むよ」
「かしこまりました。まあ、なんとか手繰ってみましょう」
「天狗がさらうというのも今どきは流行らねえ」
「何かこれには綾があるだろう。洗ってみたら又面白い種があるかも知れねえぜ」
「そうかも知れません。なにしろこれから田町へ行って、御用人に逢って来ましょう」
「なにか御迷惑な一件が出来しましたそうで、お察し申し上げます」
「まったくお察しください」
「なにぶんにも筋道の判らぬ一件で、手前共もまことに迷惑している。得体のわからぬ小娘の死骸をそのまま取り捨ててしまえば何の仔細もない事であるが、主人がどうしても不承知で、その身よりの者を探し出して必ず引き渡してやれという。さりとて当途もない尋ねもの、第一にその死骸が何処をどうして屋敷の屋根の上に投げ込まれたのか、それすら一向に見当のつかぬような始末で、われわれ甚だ困却しているが、そちらは商売柄、なんとか筋道をたどって探索しては下さるまいか」
「へえ、小山の旦那からもお話がございましたから、何とか一と働きいたしたいと存じて居りますが……。そこでその死骸というのは何処にございます。寺の方へでももうお預けになりましたか」
「いや、夕刻までは手前の長屋に置いてある、一応見てください」