岡本綺堂 『半七捕物帳』 「寅松の両親はこの寺に埋まっているんですが…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「寅松の両親はこのお寺に埋葬されているんですが、なにしろあいつはとんでもない道楽者ですから、近所に住んでいながらお盆や年始のご挨拶もろくにありません。それが何ていうものか、突然訪ねて来て、ぜひご供養をお願いしたいと言って5両っていう大金を持ってきました」
「それで、こんなことを言ってたんです。妹もだいぶ前から行方が分からなくなってしまって、どこでどうしているのか分からないから、家出をした日を命日だと思って、どうかご供養を願いたい……。私が了承すると、寅松もとても喜んで、お礼を言って帰りました」
「なるほど、寅松って奴は変な奴ですね」
「ふーん。どうしてもあいつを捕まえなきゃならねえ。博奕を打つっていうから、仲間もいるだろう。お前、何とか工夫してそいつの居所を突き止めてくれ」
「ええ、なんとかしましょう」
「頼むぜ」

原文 (会話文抽出)

「寅松の両親はこの寺に埋まっているんですが、なにしろあの通りの道楽者ですから、近所にいながら盆暮の附け届けも碌々したことはないんです。それが何と思ったか、不意にたずねて来て、なにぶん御回向を頼むと云って五両という金をめずらしく置いて行きました」
「そうして、こんなことを云っていました。妹も先頃からゆくえ知れずになってしまって、何処にどうしているか判らないから、家出の日を命日だと思って、どうか御回向を願いたい……。わたくしが承知してやったら、寅松もたいそう喜んで、礼を云って帰りました」
「なるほど、寅松という野郎は変ですね」
「むむ。どうしても野郎を引き挙げなけりゃあいけねえ。博奕を打つというから友達もあるだろう。おめえ、なんとか工夫してそいつの居どこを突き留めてくれ」
「ええ、なんとかなりましょう」
「頼んだぜ」


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