GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』
現代語化
「おい、按摩師の徳寿さん」
「はい、はい」
「徳寿さん。寒いね。ひどい降り方だねえ。お前のところの遊郭には2、3度お世話になったことがあったっけ。そう、この間の近江屋の2階でもな」
「ああ、そうでしたか。年を取りますと、だんだん記憶力が悪くなって、贔屓にしてくださる方々にいつも失礼をしております。旦那もこれから遊郭へ行かれるんですか。こういう夜に出かけるのもまた一興でございます。わが物と思えば軽し傘の雪って申しますからね。ははははは」
「とにかくめちゃくちゃ寒いね」
「この2、3日は寒さが厳しくなりました」
「これから田んぼを突っ切るのは大変だよ。どうだい、あそこで蕎麦の一杯でもすすって元気をつけていこうじゃないか。お前の奢りも受けるよ。遊郭に入るにはまだちょっと早いだろう」
「はい、はい、どうもご馳走様です。私は下戸ですが、お酒を召し上がるお方は一杯やらなければ、この田んぼはちょっと大変です。はい、はい、ありがとうございます」
原文 (会話文抽出)
「ほんとうにしようのない人だねえ」
「おい、按摩さん。徳寿さん」
「はい、はい」
「徳寿さん。寒いね。べらぼうに降るじゃあねえか。おまえにゃあ廓で二、三度厄介になったことがあったっけ。それ、このあいだも近江屋の二階でよ」
「はあ、左様でございましたか。年を取りますと、だんだんに勘がわるくなりまして、御贔屓様に毎々失礼をいたして相済みません。旦那もこれから廓へお出かけでございますか。こういう晩にお通いもまたお楽しみなものでございます。わが物と思えば軽し傘の雪とか申しましてね。ははははは」
「なにしろ悪く寒いね」
「この二、三日は冴え返りました」
「これから田圃を突っ切るのは楽じゃあねえ。どうだい、あすこで蕎麦の一杯も啜り込んで威勢をつけて行こうじゃねえか。おまえも附き合わねえか。廓へはいるのはまだちっと早かろう」
「はい、はい、どうも御馳走さまでございます。わたくしは下戸でございますけれど、御酒を召しあがるお方は一杯あがらなければ、この田圃はちっと骨が折れます。はい、はい、ありがとうございます」