岡本綺堂 『半七捕物帳』 「若旦那。又ここでお目にかかりました」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「若旦那。またここで会いましたね」
「何でこんな所にいるんだ」
「もう自分の家にも帰れないんで、昨日からあちこちさまよってました」
「お前は昨日、俺を姉さんのところへ連れてってやると言ったよな」
「嘘か」
「連れてってやるって言ったのは嘘だけど……。お姉さんのいる場所は知ってます」
「知ってるんだったら教えてくれよ」
「お前は何のあてもなしにここら辺に来たのか」
「もし自分の身に危険が迫ったら向島へ行けって、親父に言われてて……」
「向島って……どこの場所なんだ」
「植木屋の五兵衛って人の家です」
「そこに姉さんも幸之助もいるのか」
「で、その五兵衛の家って知ってるのか」
「この辺にはあまり来たことがなくて、道に迷って四つ木の方に行っちゃって、お昼頃にまでここに帰って来ましたが、疲れたのと眠いのとで、さっきからこの小屋に入って寝てました」
「じゃあ、その家は分からないのか」
「これからあなたと一緒に探しましょう」

原文 (会話文抽出)

「若旦那。又ここでお目にかかりました」
「どうしてこんな所に来ている」
「もう自分の家へも帰れませんから、ゆうべから方々をうろ付いていました」
「お前はゆうべ、わたしを姉さんのところへ連れて行ってやると云ったが、本当か」
「嘘か」
「連れて行くと云ったのは嘘ですけれど……。お姉さんの居る所は知っています」
「知っているなら教えてくれ」
「おまえは当ても無しにここらへ来たのか」
「もし自分のからだが危くなったら向島へ行けと、お父さんに云い聞かされているので……」
「向島の……なんという所へ行くのだ」
「五兵衛という植木屋の家です」
「そこに姉さんも幸之助もいるのか」
「そうして、その五兵衛の家は知れたのか」
「ここらへは滅多に来たことが無いので、路に迷って四つ木の方へ行ってしまって、お午頃にここまで引っ返して来ましたが、くたびれたのと眠いのとで、さっきから此の小屋へはいって寝ていました」
「では、その家は見付からないのか」
「これからあなたと一緒に探しましょう」


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