GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』
現代語化
「ふーん。その件については白魚河岸でも心配してるみたいだ」
「昨日も私が日本橋を歩いてると、岡っ引きの吉五郎が私を呼び止めて、吉田の家のことを聞いてたけど、あいつも今回の事件について何か調べてるらしい。どうか大事になってほしくないんだけど……。そこで余計なこと言うようだけど、これから綾瀬までは結構遠い。わざわざ探しに行っても無駄かもしれないよ」
「無駄ですかね」
「春は日が長いって言っても、綾瀬まで往復したら、絶対暗くなるだろう」
「暗くなってもいいけど、行っても無駄ですか」
「無駄だろうな」
「じゃ、あなたは姉さんの居場所を知ってるんですか」
「いや、知らない。私は知らない」
「でも、こんな遠くへは来てなさそうだし。灯台下暗しって言うでしょ、探してる人って案外近くにいるもんなんですよ」
「あなたは知ってるんでしょう。教えてください。幸之助はどうでもいいから、姉さんの居場所だけ教えてください。お願いします」
「いや、知らない。本当知らない」
「私はただ『灯台下暗し』って例えを言っただけだよ。とにかくここまで来たんだから、無駄だと思って綾瀬まで行ってみてもいいかもしれない。綾瀬へはここから真っ直ぐだ。私はこれからこっちに曲がるから、ここで別れよう」
原文 (会話文抽出)
「実は少し心配のことがありますので……」
「むむ。その件については白魚河岸でも心配しているようだ」
「きのうも私が日本橋をあるいていると、岡っ引の吉五郎が私を呼び留めて、吉田の家のことを訊いていたが、あいつも今度の一件についての何かの探索をしているらしい。どうか大事になってくれなければいいが……。そこで余計なことを云うようだが、これから綾瀬まではなかなか遠い。わざわざ尋ねて行っても無駄かも知れないぞ」
「無駄でしょうか」
「春の日が長いと云っても、綾瀬まで往復しては、どうしても暗くなるだろう」
「暗くなるのは構いませんが、行っても無駄でしょうか」
「無駄らしいな」
「では、あなたは姉の居どころを御存じなのですか」
「いや、知らない。わたしは知らない」
「だが、こんな遠方へは来ていそうもない。燈台下暗しと世のたとえにも云う通り、尋ね物というものは案外手近にいるものだ」
「あなたは御存じなのでしょう。どうぞ教えてください。幸之助はともかくも、姉の居どころだけを教えて下さい。お願いです」
「いや、知らない。まったく知らない」
「わたしはただ燈台下暗しという世のたとえを云ったまでだ。ともかくもここまで踏み出して来たのだから、無駄と思って綾瀬まで行ってみるのもいいかも知れない。綾瀬へはこれから真っ直ぐだ。わたしはこれから右へ切れるから、ここで別れるとしよう」