GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』
現代語化
「そうですか」
「せっかくだけど、それは言えません。あなたも見たなら別だけど、俺の口からは言えません。こう言うと、意地悪な奴だと思うかもしれないけど、役人はみんなそうなんだ。それで、あなたは何であいつのことを調べてるんですか?」
「別に理由はないけど、最近世間で話題になってるから……」
「それだけですか?」
「他にも理由があるんですか?」
「他に理由はないよ」
「そうならいいんですけどね……」
「そういえばお姉さんはもう家に戻ったのか?」
原文 (会話文抽出)
「おまえは何か見たらしい。見たなら見たと云って正直に教えてくれ。わたしもあの蝶々について詮議をしているのだから……」
「そうですか」
「折角ですが、それは申し上げられません。あなたも御覧になったのなら格別、わたくしの口からは申されません。こう申したら、定めて意地のわるい奴だとおぼしめすかも知れませんが、御用を勤めている者はみんなそうです。そこで、あなたはどういうわけで、あの蝶々を御詮議なさるんです」
「別にどうと云うこともないが、このごろ世間で評判が高いから……」
「唯それだけの事でございますか」
「まだほかに、何か仔細があるのじゃあございませんか」
「ほかに仔細はない」
「仔細がなければよろしいのですが……」
「時におあねえ様はもうお屋敷へお帰りになりましたか」