GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』
現代語化
「本当に申し訳ありません」
「それで、失礼ですが、奥さんは裁縫ができますか?」
「はい。裁縫は上手で、暇なので隠居所でいつも何か作っています」
「私は知らないんですが、裏の隠居所って広いんですか?」
「いえ、それほど広くはありません。女中部屋を含めて6部屋くらいで、隠居はいつも奥の4畳半の部屋にこもっています」
「娘さんは……裁縫するなら明るい居間でしょうね」
「南向きの6畳間で、庭に面しています。日当たりがいいので、いつもそこで作業してるようです」
「店から庭を通って行けるんですか?」
「門があって、そこから隠居所の庭に入れます」
「なるほど」
「ところでその隠居所の、奥さんがいる6畳の部屋で、最近障子の張り替えとかしなかったですか?」
「さあ」
「隠居所のことは詳しく知りませんが、確かこの月の初めに、隠居所の障子を猫が破いたとか言って、小僧が張り替えに行ったことがあったような気がします。でもそれは奥さんの部屋でしたか?どうでしたっけ。おい、おい、音吉」
「こないだ隠居所の障子張り替えに行ったのは、お前だったな」
「私です」
「奥さんがいつも作業してる6畳の障子です。猫がいたずらしたとかで、下から3、4段目の部分が1枚破れてました」
「いつ頃だったか、その日を覚えてない?」
「覚えてます。お節句の日でした」
原文 (会話文抽出)
「ああ、そうでしたか。だが、まあ、それで無事に納まれば結構でしょう。なにしろ、こんなことの出来したのがお互いの災難ですからね」
「どうも仕方がございますまい」
「そこで、つかんことを訊くようですが、お此さんは針仕事をしますかえ」
「はい。針仕事は上手でございまして、それになんにも用がないもんですから、隠居所の方で毎日なにか仕事をして居ります」
「わたしは知りませんが、裏の隠居所というのは広いんですかえ」
「いえ、それほど広くもございません。女中部屋ともで六間ばかりで、隠居はたいてい奥の四畳半の部屋に閉じ籠っております」
「娘は……針仕事をするんじゃあ明るいところにいるんでしょうね」
「南向きの横六畳で、まえが庭になっております。そこが日あたりがいいもんですから、いつもそこで仕事をしているようでございます」
「店の方から庭づたいに行けますか」
「木戸がありまして、そこから隠居所の庭へはいれるようになって居ります」
「なるほど」
「それから其の隠居所の、お此さんのいる六畳の部屋で、近い頃に障子の切り貼りでもしたことはありませんかえ」
「さあ」
「隠居所の方のことはくわしく存じませんが、そう云えば何でもこの月はじめに、隠居所の障子を猫が破いたとか云って、小僧が切り貼りに行ったことがあったようでした。併しそれはお此さんの部屋でしたか、どうでしたか。おい、おい、音吉」
「このあいだ隠居所の障子を切り貼りに行ったのは、お前じゃなかったか」
「わたくしです」
「お此さんがいつも仕事をしている六畳の障子です。なんでも猫がいたずらをしたとかいうことで、下から三、四段目の小間が一枚やぶけていました」
「いつ頃だか、その日をたしかに覚えていないかえ」
「おぼえています。お節句の日でした」