岡本綺堂 『半七捕物帳』 「まあ、こういう訳なんでございますから、ど…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「こういうわけなので、どうかご配慮ください……」
「奥様も知ってますから、大ごとにするのは面倒です。うまく丸く収めてくださいよ……」
「ありがとうございます」
「それで、その後はどうしましょう?どうするのが一番穏便かな?」
「そうですね、やはり神隠しでしょうか」
「なるほど」
「じゃあ、結局杉野の旦那さんは何も知らなかったってことですか?」
「神隠しということになったんでしょう」
「でも、用人やら山崎ににらまれて、又蔵は居心地が悪くなったみたいで、屋敷のものを持ち出して、お安と駆け落ちしたそうですよ」
「山崎は無事だったんですか?」
「それがね。一年後くらいに、旦那さんに殺されちゃったんです」
「神隠しの秘密がばれたんですか?」
「それだけじゃないと思いますよ」
「旗本の家来って悪い奴が多いですから、弱みでも握られると大変なことになりますよね。山崎は殺され、奥様は実家に戻されたそうです。息子への溺愛から悪人に近づいて、奥様は一生不幸になってしまいました。かわいそうですよね」
「となると、朝顔は息子より母親に祟ったってことですか?」
「そうかもしれません。その屋敷は明治まで残ってましたが、いつの間にか取り壊されて、今は貸家が建ってます」

原文 (会話文抽出)

「まあ、こういう訳なんでございますから、どうかその思召しで……」
「なにしろ奥様も御承知のことですから、あまり荒立てると又面倒でございましょう。なんとかあなたのお取り計らいで、そこを円く済みますように……」
「いや、いろいろ有難うござった」
「それで何もかもわかりました。就いてはあとの始末でござるが、どういうふうに取り計らうのが一番穏便でござろうかな」
「さあ、やはり神隠しでしょうかな」
「成程」
「では、杉野の主人は結局なんにも知らずにしまったのですか」
「やはり神隠しということになってしまったのでしょう」
「しかし用人や山崎に睨まれて、又蔵はどうも居ごこちが悪くなったと見えて、なにか屋敷の物を持ち出して、提重のお安という女と駈け落ちをしてしまったそうですよ」
「山崎の方は無事に勤めていたんですか」
「それがね。なんでも一年ばかり経ってから、主人に手討ちにされたということです」
「神隠しの秘密が露顕したんですか」
「そればかりじゃありますまい」
「旗本屋敷の渡り奉公なんぞしている者はどうも悪い奴が多うござんすからね。こいつらに弱味を掴まれて、執念ぶかく食い込まれると、飛んだことになりますよ。山崎は手討ちになって、奥様は里へ帰されたそうです。子ゆえの闇から悪い奴に魅こまれて、奥様も一生日蔭の身になってしまったんです。考えてみると可哀そうじゃありませんか」
「そうすると、朝顔は息子より阿母さんに祟った訳ですかね」
「そうかも知れません。その屋敷は維新後まで残っていましたが、いつの間にか取り毀されてしまって、今じゃ細かい貸家がたくさん建っています」


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