岡本綺堂 『半七捕物帳』 「山崎さん。たった二歩じゃあしょうがねえ。…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「山崎さん。たった二歩じゃ無理っすよ。なんとか助けてくださいよ」
「それがギリギリなんだよ。あの間の5両はどうしたんだ?」
「火消し屋敷で全部負けちゃいました」
「バカか。ギャンブルはやめろよ。竹の子みたいになにも残らねえぞ」
「はい、もうしません。でも、言いにくいんですけど、お姉さんの春着を頼まれてるんっすよ。男なら何とかしなきゃいけないんで」
「ふーん、立派な男だな」
「春着でも着物でも作ればいいでしょ」
「だから、その、なんとか手伝ってもらえないかと……」
「頼まれちゃ困るな。俺も身分があるんだぞ。他人の面倒なんか見ていられないよ」
「あなたに直接頼むんじゃなくて、奥さんに頼んでくださいよ」
「奥さんに何度も言わせんなよ。あの間の件は10両で解決してるんだ。それを2人で山分けしたんだから、文句言えねえだろ」
「文句言うんじゃなくて、頼みなんです」
「まあ、なんとかしてみるよ。女に責められてたらたまりませんよ。あなたも、思い当たる部分はあるでしょ。少しは情けかけてくださいよ」

原文 (会話文抽出)

「山崎さん。たった二歩じゃあしょうがねえ。なんとか助けておくんなせえ」
「それが鐙踏ん張り精いっぱいというところだ。一体このあいだの五両はどうした」
「火消し屋敷へ行ってみんな取られてしまいましたよ」
「博奕は止せよ。路端の竹の子で、身の皮を剥かれるばかりだ。馬鹿野郎」
「いやもう、一言もありません。叱られながらこんなことを云っちゃあ何ですが、お前さんも御承知のお安の阿魔、あいつにこの間から春着をねだられているんで、わっしも男だ、なんとか工面してやらなけりゃあ」
「ふふん、立派な男だ」
「春着でも仕着でもこしらえてやるがいいじゃあねえか」
「だから、その、なんとか片棒かついでお貰い申したいので……」
「ありがたい役だな。おれはまあ御免だ。おれだって知行取りじゃあねえ。物前に人の面倒を見ていられるもんか」
「お前さんにどうにかしてくれと云うんじゃあねえ。お前さんから奥様にお願い申して……」
「奥様にだってたびたび云われるものか、このあいだの一件は十両で仕切られているんだ。それを貴様と俺とが山分けにしたんだから、もう云い分はねえ筈だ」
「云い分じゃあねえ。頼むんですよ」
「まあ、何とかしておくんなせえ。女に責められて全く遣り切れねえんだから。お前さんだって、まんざら覚えのねえことでもありますめえ。ちっとは思いやりがあっても好いじゃありませんか」


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