GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 島崎藤村 『新生』
現代語化
「明日は俺も谷中に行く予定だけど――後で節ちゃんが思い残すことがないように、誰も駅まで来ないでくれって、台湾のおじさんもそう言ってるし、俺もまぁ1人ぐらい連れて上野あたりまで見送ってあげるつもりです」
「ああそうなんだ。俺も今回は遠慮することにした」
「昨日はうちでも台湾に行く人たちだけ呼んで、台湾のおじさんと節ちゃんの2人に来てもらったんですよ。俺も節ちゃんに餞別をあげたくて、何でもほしいものを言ってくれって言ったら、節ちゃんが本が欲しいって言うんで、2人で神田まで探しに行きましたよ。そういえば、節ちゃんがもらった本で、おじさんのところに預けてあるのがあったでしょ。あれをもらってきてくれって、節ちゃんから頼まれてました。もしあったら」
「お前も明日谷中に行くなら、そう伝えてくれ。節ちゃんももちろん承知してると思うけど、これから台湾に行ってゆっくり本でも読める時があると思うと大違いだって、俺がそう言ってたって。どうせ義雄さんの方から節ちゃんの生活費が出るわけじゃないし、台湾のおばさんから見ればお荷物が増えるようなものだからね。男はそういうのはざっくりだけど、女は細かいから。節ちゃんも居心地が悪くなったりしないかなって、俺は心配してるよ」
「それは節ちゃんも心配してましたよ」
「まぁ本を渡すのは取りやめよう。しばらく俺の方で預かっておく」
「でも、私はそう頼まれたんですもの」
「いや、節ちゃんにそう伝えてくれ。台湾のおばさんの手伝いをちゃんとしろって」
原文 (会話文抽出)
「明日の午後一時に節ちゃん達も東京駅を発つそうです」
「明日は私も谷中へ行くつもりですが――後へ節ちゃんの心が残るといけないから、誰も停車場までは来てくれるなッて、台湾の伯父さんもそう仰いますからね、私もまあ一ちゃんでも連れて、上野あたりまで見送ってあげるつもりです」
「ああそうか。俺も今度は万事遠慮することにした」
「昨日は私の家でも台湾へ行く人だけを呼びました。台湾の伯父と節ちゃんの二人にお客さまに成って頂きましてね。何か私も節ちゃんにお餞別をと思いまして、何でもお望みって言いましたら、節ちゃんが書籍を欲しいなんて言いましてね、二人で神田まで探しに行きましたよ。そう言えば、節ちゃんの頂いた書籍で、叔父さんのところにお預けしたのが有るそうですね。あれを私に頂いて来てくれッて、節ちゃんから言伝かってまいりましたよ。もし有りましたら」
「お前も明日谷中へ行くなら、そう言っておくれ。節ちゃんも無論承知のことだろうとは思うがね、これから台湾へ行ってゆっくり書籍でも読める時があると思うと大違いだッて、俺がそう言っていたッて。どうせ義雄さんの方から節ちゃんの食い扶持が行く訳ではなかろうし、台湾の伯母さんから見れば厄介者が一人舞込むようなものだからねえ。男はそこへ行くと大ざッぱだが、女の人は細いから。節ちゃんも居にくいようなことが有りゃしないかと思って、俺は心配して遣るよ」
「それは節ちゃんも心配していましたよ」
「まあ書籍を上げるのは見合せよう。しばらく俺の方へ預かって置こう」
「でも、私はそう言伝かって来たんですもの」
「いや、節ちゃんにそう言っておくれ。しっかり台湾の伯母さんのお手伝いをしておくれッて」