GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 島崎藤村 『新生』
現代語化
「お茶でも飲んでく？」
「そういえば、節ちゃんにもいろいろ世話になった」
「こないだまた、お前のところから机と『言海』買うお金もらってきたって、すげー机できたよ。『言海』は必須だし。机だって勉強するには必要だけど、あの机は俺ちにはちょっと豪華すぎる」
「欲しいって思ったら買わずにいられないんだろ。そこがまだ節ちゃん若いよね」
「そういえば、お前の家も高輪のままなんだっけ。今のままだと厳しいだろ。久米さんだってずっと頼めないでしょ」
「とりあえず現状維持。行くか行かないか、様子見。祖母さんもいてくれるし、久米さんもよく働いてくれるからなんとかなってる。久米さんは病弱だったから心配だったけど、無理してでも家の事情わかってくれる人に頼みたいと思って。うちには子供もいるし」
「お前も早く家庭持つといいよ。根岸の話は断ったんだって。こないだお愛ちゃんちでその話になったよ。よく考えて断ったって、叔父さんから手紙が来たって。お愛ちゃんの友達の写真も見たけど、なかなか良さそうだったけどね」
「あ、こんなに話してる場合じゃなかった。磯部でゆっくり話そっか」
原文 (会話文抽出)
「捨吉。それじゃ俺はこれから一寸用達に行って来るがナア、夕飯までには必ず帰る」
「まあ、お茶でも一つ飲んで行くか」
「時に、節ちゃんもいろいろ御世話さま」
「こないだは又、お前のところから机と言海を買うお金を貰って来たと言って、や、面白い机が出来たぞ。言海はこりゃ無くちゃならないものだ。机だっても読んだり書いたりするものには必要だが、しかしあの机は俺の家にはすこし過ぎたものサ」
「欲しいと思ったら買わずにはいられなくなるんでしょう。あそこがまだ節ちゃんの若いところですね」
「それはそうと、お前の家でも高輪に居据りだね。今のままでは到底不可ぞ。久米さんだってもそう長く頼んで置く訳には行くまい」
「まあ当分は現状維持です。行くか行かないか、あれで暫時やって見ます。祖母さんでも居て下さらなけりゃ到底私の家は成立ちませんが、お蔭で祖母さんもよくやってくれますし、それに久米さんもなかなかよく働いてくれます。一体、あの人は長いこと病身でしたから、どうかとは思いましたが、すこし無理でも何でもああいう家の事情をよく知ってる人に頼みたいと思うんです。なにしろ私の家には子供が有りますからね」
「早くまあお前も家庭をつくるが可い。根岸の方の話は到頭断ったそうだね。こないだお愛ちゃんのところでその話があったよ。熟考の上で御断りすると、叔父さんから手紙が来たとかッて。お愛ちゃんのお友達という人の写真は俺も見た。なかなか良さそうな人だがナア」
「や。こんなに話し込むんじゃ無かった。磯部でゆっくり話せることだ」