GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 島崎藤村 『並木』
現代語化
「青木君――大学の英文科にいるんだ」
「ああ、あなた青木さんですか。書いたものは雑誌でよく拝見してました」
「こちらは」
「布施君――やっぱり青木君と同じクラスです」
「私は中学の頃から原先生の作品を愛読していました」
「この布施君は永田君に習った人なんです」
「永田君に?」
「はい、永田先生には大変お世話になりました」
「青木君、洋服が珍しいね」
「むう、なかなか似合ってる」
「青木君は――」
「洋服着たら若くなったって評判です」
「どうもあちこちでからかわれるなあ」
「ところで、会の方はどう決まりました?」
「乙骨先生の講演、これは決まりです。それから高瀬さんも出てくれると言ってました」
「高瀬は、君、ちょっと気取り屋なんで、引きずり出さなきゃダメだよ」
「君も引っ越してきたら、ぜひ僕たちの会のために尽力してくれよ」
「どうかし、原先生にもお話を一つ」
「ダメです」
「さっき相川君にも話したんですけど、僕なんかはもうチョンマゲの方で――」
「そんなことありません」
「本当に、僕は原先生の作品を愛読しましたよ。永田先生にもそう話しました」
「まあ、僕たちは先生方が生んでくれた子供みたいなもんですからね」
原文 (会話文抽出)
「原君、御紹介しましょう」
「青木君――大学の英文科に居られる」
「ああ、貴方が青木さんですか。御書きに成ったものは克く雑誌で拝見していました」
「是方は」
「布施君――矢張青木君と同級です」
「私は中学校に居る時代から原先生のものを愛読しました」
「この布施君は永田君に習った人なんです」
「永田君に?」
「はあ、永田先生には非常に御厄介に成りました」
「青木君、洋服は珍しいね」
「むう、仲々好く似合う」
「青木君は――」
「洋服を着たら若くなったという評判です」
「どうも到る処でひやかされるなあ」
「時に、会の方はどう定りました」
「乙骨先生の講演、これは動きません。それから高瀬さんも出て下さると仰在いました」
「高瀬は、君、あんまり澄してるからね、ちっと引張出さんけりゃ不可よ」
「君も引越して来たら、是非吾儕の会の為に尽力してくれ給え」
「何卒、原先生にも御話を一つ」
「駄目です」
「今相川君にも話したんですが、僕なぞは最早チョン髷の方で――」
「そんなことは有ません」
「実際、私は原先生のものを愛読しましたよ。永田先生にも克くその話をしましたッけ」
「まあ、私達は先生方が産んで下すった子供なんです」