芥川龍之介 『きりしとほろ上人伝』 「れぷろぼす」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 芥川龍之介 『きりしとほろ上人伝』

現代語化

「すると」
「なんで皇帝は、あんなふうに十字架の印を切るんだい?」
「要するに悪魔ってのは、地上の人間を手のひらの上で操る、すごい力の持ち主なんだ。だから皇帝も、悪魔の邪魔を払おうと思って、再三十字架の印を切って、自分の身を守ってるんだ」
「すると」
「でも今の『アンティオキア』の皇帝は、日本で一番強い武将だって聞きました。だから悪魔も皇帝には、1本指だって触れないはずです」
「いやいや、皇帝も悪魔ほどの力はないでしょう」
「私が皇帝に従ったのは、日本で1番強いのは皇帝だと思ったからです。でもその皇帝でさえ、悪魔には負けるっていうんなら、私はこれからは身を翻して、悪魔の家来になります」

原文 (会話文抽出)

「れぷろぼす」
「何として帝は、あのやうに十字の印を切らせられるぞ。」
「総じて悪魔と申すものは、天が下の人間をも掌にのせて弄ぶ、大力量のものでおぢやる。ぢやによつて帝も、悪魔の障碍を払はうずと思召され、再三十字の印を切つて、御身を守らせ給ふのぢや。」
「れぷろぼす」
「なれど今『あんちおきや』の帝は、天が下に並びない大剛の大将と承つた。されば悪魔も帝の御身には、一指をだに加へまじい。」
「いや、いや、帝も、悪魔ほどの御威勢はおぢやるまい。」
「それがしが帝に随身し奉つたは、天下無双の強者は帝ぢやと承つた故でおぢやる。しかるにその帝さへ、悪魔には腰を曲げられるとあるなれば、それがしはこれよりまかり出でて、悪魔の臣下と相成らうず。」


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