夏目漱石 『三四郎』 「母からあなたにごめんどうを願ったそうで」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『三四郎』

現代語化

「母からあなたに頼んでくれって」
「なに、別に面倒じゃないけど」
「母親が心配して、長い手紙よこしてきたよ。三四郎は仕方なくて友達に学費貸したって言うけど、いくら友達だって、むやみやたらに金を借りるもんでしょ。借りたって返すつもりだろって。田舎の人は正直だから、そう思うのも無理ないよ。それからね、三四郎が貸すにしても、貸し方が大げさすぎる。親から毎月学費もらってるのに、二十円とか三十円まとめて人に貸すなんて、無鉄砲すぎるって言うんだよね――なんだか俺の責任みたいに書いてあるから困る……」
「気の毒だな」
「いや、心配ないよ。どうってことないんだから。ただ母親が、田舎の基準で金銭感覚があるから、三十円ってのが重く感じるみたい。三十円あれば、四人家族が半年食っていけるって書いてあったけど、そんなもんかな?」

原文 (会話文抽出)

「母からあなたにごめんどうを願ったそうで」
「なに、大してめんどうでもありませんがね」
「おっかさんが心配して、長い手紙を書いてよこしましたよ。三四郎は余儀ない事情で月々の学資を友だちに貸したと言うが、いくら友だちだって、そうむやみに金を借りるものじゃあるまいし、よし借りたって返すはずだろうって。いなかの者は正直だから、そう思うのもむりはない。それからね、三四郎が貸すにしても、あまり貸し方が大げさだ。親から月々学資を送ってもらう身分でいながら、一度に二十円の三十円のと、人に用立てるなんて、いかにも無分別だとあるんですがね――なんだかぼくに責任があるように書いてあるから困る。……」
「お気の毒です」
「なに、心配することはありませんよ。なんでもない事なんだから。ただおっかさんは、いなかの相場で、金の価値をつけるから、三十円がたいへん重くなるんだね。なんでも三十円あると、四人の家族が半年食っていけると書いてあったが、そんなものかな、君」


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