夏目漱石 『三四郎』 「野々宮さん光線の圧力の試験はもう済みまし…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『三四郎』

現代語化

「野々宮さん、光線の圧力の試験はもう終わりましたか」
「いや、まだぜんぜん終わらない」
「ずいぶん手間がかかるもんだね。俺たちの仕事も根気がいるけど、君のほうはもっと大変そうだ」
「絵はインスピレーションでさっさと描けるからいいけど、物理の実験はそううまくはいかない」
「インスピレーションなんてうざったいよ。この夏あるところを通ったら、おばあさんが2人で何か話してた。聞いてみたら梅雨はもう明けたんだろうかっていう研究をしてたんだけど、1人のおばあさんが、『昔は雷さえ鳴れば梅雨は絶対明けてたのに、最近はそうでもない』って言ってて。するともう1人が、『とんでもない、雷なんて鳴ったからって明けるわけないでしょ』って怒ってた。――絵も同じだよ。今の絵はインスピレーションだけで描けるわけじゃない。ねえ田村さん、小説だってそうでしょ」

原文 (会話文抽出)

「野々宮さん光線の圧力の試験はもう済みましたか」
「いや、まだなかなかだ」
「ずいぶん手数がかかるもんだね。我々の職業も根気仕事だが、君のほうはもっと激しいようだ」
「絵はインスピレーションですぐかけるからいいが、物理の実験はそううまくはいかない」
「インスピレーションには辟易する。この夏ある所を通ったらばあさんが二人で問答をしていた。聞いてみると梅雨はもう明けたんだろうか、どうだろうかという研究なんだが、一人のばあさんが、昔は雷さえ鳴れば梅雨は明けるにきまっていたが、近ごろじゃそうはいかないとこぼしている。すると一人がどうしてどうして、雷ぐらいで明けることじゃありゃしないと憤慨していた。――絵もそのとおり、今の絵はインスピレーションぐらいでかけることじゃありゃしない。ねえ田村さん、小説だって、そうだろう」


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