夏目漱石 『三四郎』 「熱い日でしたね。病院があんまり暑いものだ…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『三四郎』

現代語化

「暑かったね。病院が暑すぎて、我慢できなくなって出てきたんだ。――それで、お兄ちゃんは何であんなところにしゃがんでたんだよ」
「暑かったからだよ。あの日は初めて野々宮さんに会って、それから、あそこに来てぼんやりしてたんだ。なんか寂しくなっちゃって」
「野々宮さんに会ってから、寂しくなったの」
「いや、そういうわけじゃないよ」
「野々宮さんといえば、今日はすごい活躍だね」
「うん、珍しくフロックコートを着てるよ――ずいぶん大変そうだけど。朝から晩までだから」
「でもだいぶ得意そうじゃない?」
「だれが、野々宮さんが。――お兄ちゃんもすごいよ」
「なんで?」
「だって、まさか運動会の計測係りになって得意になるような人じゃないでしょ」
「さっきお兄ちゃんのところに何か話してたよね」
「会場で?」
「うん、運動会の柵のところ」
「うん」

原文 (会話文抽出)

「熱い日でしたね。病院があんまり暑いものだから、とうとうこらえきれないで出てきたの。――あなたはまたなんであんな所にしゃがんでいらしったんです」
「熱いからです。あの日ははじめて野々宮さんに会って、それから、あすこへ来てぼんやりしていたのです。なんだか心細くなって」
「野々宮さんにお会いになってから、心細くおなりになったの」
「いいえ、そういうわけじゃない」
「野々宮さんといえば、きょうはたいへん働いていますね」
「ええ、珍しくフロックコートをお着になって――ずいぶん御迷惑でしょう。朝から晩までですから」
「だってだいぶ得意のようじゃありませんか」
「だれが、野々宮さんが。――あなたもずいぶんね」
「なぜですか」
「だって、まさか運動会の計測係りになって得意になるようなかたでもないでしょう」
「さっきあなたの所へ来て何か話していましたね」
「会場で?」
「ええ、運動会の柵の所で」
「ええ」


青空文庫現代語化 Home リスト