夏目漱石 『三四郎』 「妙なものを食うな」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『三四郎』

現代語化

「変なの食うなよ」
「変なものって、美味いから食べてみてよ。これ、俺がわざわざ先生に土産に買ってきたやつだ。先生はまだ、これを食べたことがないって言ってた」
「どこから」
「日本橋から」
「先生、どうですか」
「固いな」
「固いけど美味いだろ。よく噛まないと。噛むと味がするんだ」
「味がするまで噛んでたら、歯が疲れるよ。なんでこんな古風なものを買ってきたんだよ」
「ダメですか。これ、先生には合わないかも。里見の美禰子さんならいいだろうな」
「なんで」
「あの人は落ち着いてるから、味がするまで絶対噛んでそう」
「あの人は落ち着いてるけど、乱暴だよ」
「そうそう乱暴なの。イプセンの女みたい」
「イプセンの女は露骨だけど、あの人は心が乱暴なんだよ。まあ、乱暴といっても普通の乱暴とは違うけど。野々宮の妹の方が、一見乱暴そうだけど、女らしいよね。不思議だね」
「里見のは内輪もめの乱暴か」

原文 (会話文抽出)

「妙なものを食うな」
「妙なものって、うまいぜ食ってみろ。これはね、ぼくがわざわざ先生にみやげに買ってきたんだ。先生はまだ、これを食ったことがないとおっしゃる」
「どこから」
「日本橋から」
「先生、どうです」
「堅いね」
「堅いけれどもうまいでしょう。よくかまなくっちゃいけません。かむと味が出る」
「味が出るまでかんでいちゃ、歯が疲れてしまう。なんでこんな古風なものを買ってきたものかな」
「いけませんか。こりゃ、ことによると先生にはだめかもしれない。里見の美禰子さんならいいだろう」
「なぜ」
「ああおちついていりゃ味の出るまできっとかんでるに違いない」
「あの女はおちついていて、乱暴だ」
「ええ乱暴です。イブセンの女のようなところがある」
「イブセンの女は露骨だが、あの女は心が乱暴だ。もっとも乱暴といっても、普通の乱暴とは意味が違うが。野々宮の妹のほうが、ちょっと見ると乱暴のようで、やっぱり女らしい。妙なものだね」
「里見のは乱暴の内訌ですか」


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