夏目漱石 『三四郎』 「おっかさんはもうお国へお帰りになったんで…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『三四郎』

現代語化

「お母さんはもうお国に帰りましたか?」
「まだ帰ってません。もうすぐ帰るはずですけど」
「今、いらっしゃるんですか?」
「今ちょっと買い物に出ました」
「あなたが里見さんの所に移られるって本当ですか?」
「どうして?」
「どうしてって――この前広田先生の家でそんな話が出たんですから」
「まだ決まってません。もしかしたらそうなるかもしれないけど」
「野々宮さんはもともと里見さんと仲良しなんですか?」
「ええ。お友達なの」
「広田先生って野々宮さんの元々の先生ですよね?」
「ええ」
「ええ」
「あなたは里見さんの所に移った方がいいですか?」
「私? そうね。でも美禰子さんの兄さんに悪いわ」
「美禰子さんの兄さんって?」
「ええ。うちの兄と同じ年に卒業したんです」
「理学士ですか?」
「いいえ、学部は違います。法学士よ。そのまた上の兄さんが広田先生のお友達だったんですけど、早く亡くなっちゃって、今は恭助さんだけなんです」
「お父さんとお母さんは?」
「いないの」

原文 (会話文抽出)

「おっかさんはもうお国へお帰りになったんですか」
「まだ帰りません。近いうちに立つはずですけれど」
「今、いらっしゃるんですか」
「今ちょっと買物に出ました」
「あなたが里見さんの所へお移りになるというのは本当ですか」
「どうして」
「どうしてって――このあいだ広田先生の所でそんな話がありましたから」
「まだきまりません。ことによると、そうなるかもしれませんけれど」
「野々宮さんはもとから里見さんと御懇意なんですか」
「ええ。お友だちなの」
「広田先生は野々宮さんのもとの先生だそうですね」
「ええ」
「ええ」
「あなたは里見さんの所へいらっしゃるほうがいいんですか」
「私? そうね。でも美禰子さんのお兄いさんにお気の毒ですから」
「美禰子さんのにいさんがあるんですか」
「ええ。うちの兄と同年の卒業なんです」
「やっぱり理学士ですか」
「いいえ、科は違います。法学士です。そのまた上の兄さんが広田先生のお友だちだったのですけれども、早くおなくなりになって、今では恭助さんだけなんです」
「おとっさんやおっかさんは」
「ないわ」


青空文庫現代語化 Home リスト