GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 夏目漱石 『吾輩は猫である』
現代語化
「俺は行かない」
「なんで? 俺の一生に一度の大事な日なんだよ。出てくれないの? ちょっと薄情じゃない?」
「薄情じゃないけど、俺は出ない」
「着物がないの? 羽織と袴くらいどうでもいいじゃん。ちょっと人前に出るといいよ。有名な人に紹介してあげる」
「ごめんだ」
「胃病が治るよ」
「治らなくても困らない」
「そんなに頑固なら仕方ない。あなたは来れますか?」
「俺? ぜひ行くよ。できれば仲人になりたいくらいだ。シャンパンで三々九度の儀、春の宵みたいじゃん。――え、仲人は鈴木の藤さん? なるほどね。残念だけど仕方ない。仲人が二人もいたら多すぎるもんね。普通の人間として出席するよ」
「あなたは?」
「俺ですか? 釣りざお片手にのんびり暮らし、魚を釣りながら白や紅の花を愛でる」
「何ですかそれ、漢詩ですか?」
「何のことかわかんない」
「わかりませんか? 困りますね。寒月君は出ますよね。これまでの関係もあるし」
「絶対に出るよ。俺が作った曲を楽隊が演奏するんだ。聞き逃すわけにはいかない」
「そうですよね。東風君は?」
「そうですね。新体詩を朗読したいです」
「それは最高だね。先生、生まれてからこんなに嬉しいことはないよ。だからもう一杯ビールを飲む」
原文 (会話文抽出)
「ここにいる諸君を披露会に招待しますが、みんな出てくれますか、出てくれるでしょうね」
「おれはいやだ」
「なぜですか。私の一生に一度の大礼ですばい。出てくんなさらんか。少し不人情のごたるな」
「不人情じゃないが、おれは出ないよ」
「着物がないですか。羽織と袴くらいどうでもしますたい。ちと人中へも出るがよかたい先生。有名な人に紹介して上げます」
「真平ご免だ」
「胃病が癒りますばい」
「癒らんでも差支えない」
「そげん頑固張りなさるならやむを得ません。あなたはどうです来てくれますか」
「僕かね、是非行くよ。出来るなら媒酌人たるの栄を得たいくらいのものだ。シャンパンの三々九度や春の宵。――なに仲人は鈴木の藤さんだって? なるほどそこいらだろうと思った。これは残念だが仕方がない。仲人が二人出来ても多過ぎるだろう、ただの人間としてまさに出席するよ」
「あなたはどうです」
「僕ですか、一竿風月閑生計、人釣白蘋紅蓼間」
「何ですかそれは、唐詩選ですか」
「何だかわからんです」
「わからんですか、困りますな。寒月君は出てくれるでしょうね。今までの関係もあるから」
「きっと出る事にします、僕の作った曲を楽隊が奏するのを、きき落すのは残念ですからね」
「そうですとも。君はどうです東風君」
「そうですね。出て御両人の前で新体詩を朗読したいです」
「そりゃ愉快だ。先生私は生れてから、こんな愉快な事はないです。だからもう一杯ビールを飲みます」