夏目漱石 『吾輩は猫である』 「やあ」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『吾輩は猫である』

現代語化

「あ、どうも」
「トラの鳴き声なんかつまんないじゃん」
「えぇ、今はダメですよ。これから色んなところを散歩して、夜11時頃になってから上野に行くんです」
「へー」
「そうすると公園の木が茂っててすごい雰囲気になるでしょ」
「そうだな、昼間よりちょっと寂しいかも」
「それで、なるべく木が茂ってて、昼間でも人が通らないようなところを歩いてると、だんだん街に住んでる感じがしなくなって、山に迷い込んだ気になると思うんですよ」
「そんな気持ちになってどうするの?」
「そんな気持ちになって、しばらく立っていると、動物園でトラが鳴くんです」
「ちゃんと鳴くの?」
「大丈夫です。あの鳴き声は昼間でも理科大学まで聞こえるくらいなんですよ。真夜中で静まり返って、周りに誰もいなくて、怖い感じがして、妖怪が近くに寄ってくるような時に……」
「妖怪が近くに寄ってくるってどういう意味?」
「そんなこと言わないでくださいよ、怖い時に」
「そうかな?あんまり聞かないけど。それで?」
「それでトラが上野の老杉の葉っぱを全部落としちゃう勢いで鳴くんですよ。すごいんですよ」
「それはすごいだろうな」
「どうですか?冒険に出かけませんか?きっと楽しいと思います。トラの鳴き声は夜中に聞かないと、聞いたことにならないと思います」
「そうだな」

原文 (会話文抽出)

「やあ」
「虎の鳴き声を聞いたって詰らないじゃないか」
「ええ、今じゃいけません、これから方々散歩して夜十一時頃になって、上野へ行くんです」
「へえ」
「すると公園内の老木は森々として物凄いでしょう」
「そうさな、昼間より少しは淋しいだろう」
「それで何でもなるべく樹の茂った、昼でも人の通らない所を択ってあるいていると、いつの間にか紅塵万丈の都会に住んでる気はなくなって、山の中へ迷い込んだような心持ちになるに相違ないです」
「そんな心持ちになってどうするんだい」
「そんな心持ちになって、しばらく佇んでいるとたちまち動物園のうちで、虎が鳴くんです」
「そう旨く鳴くかい」
「大丈夫鳴きます。あの鳴き声は昼でも理科大学へ聞えるくらいなんですから、深夜闃寂として、四望人なく、鬼気肌に逼って、魑魅鼻を衝く際に……」
「魑魅鼻を衝くとは何の事だい」
「そんな事を云うじゃありませんか、怖い時に」
「そうかな。あんまり聞かないようだが。それで」
「それで虎が上野の老杉の葉をことごとく振い落すような勢で鳴くでしょう。物凄いでさあ」
「そりゃ物凄いだろう」
「どうです冒険に出掛けませんか。きっと愉快だろうと思うんです。どうしても虎の鳴き声は夜なかに聞かなくっちゃ、聞いたとはいわれないだろうと思うんです」
「そうさな」


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