夏目漱石 『吾輩は猫である』 「あれが君の伯父さんか」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『吾輩は猫である』

現代語化

「あれが君の伯父さん?」
「あれが伯父だよ」
「なるほど」
「ははは、豪傑だろう。自分もこんな伯父さんがいて幸せだよ。どこへ連れて行ってもあの調子なんだ。君もびっくりしたでしょ」
「別にそんなに驚かないよ」
「それでも驚かないなら、胆が据わってるね」
「でもあの伯父さんはなかなか立派なところがあると思うよ。精神修養を勧めてるなんて、すごいと思う」
「すごいと思うんだ。君も今に60歳くらいになると、あの伯父さんみたいになってるかもしれないよ。ちゃんとしないとね。時代遅れってのはダサいよ」
「君はすごく時代遅れを気にするけど、場合によっては時代遅れの方がすごいんだよ。そもそも今の学問ってのはずっと先を目指すだけで、どこまで行っても終わりはないでしょ。満足できないよ。その点、東洋の学問は消極的で味わいがある。心そのものを鍛えるんだからね」
「すごいこと言い出したな。なんだか八木独仙みたいなこと言ってるね」

原文 (会話文抽出)

「あれが君の伯父さんか」
「あれが僕の伯父さんさ」
「なるほど」
「ハハハ豪傑だろう。僕もああ云う伯父さんを持って仕合せなものさ。どこへ連れて行ってもあの通りなんだぜ。君驚ろいたろう」
「なにそんなに驚きゃしない」
「あれで驚かなけりゃ、胆力の据ったもんだ」
「しかしあの伯父さんはなかなかえらいところがあるようだ。精神の修養を主張するところなぞは大に敬服していい」
「敬服していいかね。君も今に六十くらいになるとやっぱりあの伯父見たように、時候おくれになるかも知れないぜ。しっかりしてくれたまえ。時候おくれの廻り持ちなんか気が利かないよ」
「君はしきりに時候おくれを気にするが、時と場合によると、時候おくれの方がえらいんだぜ。第一今の学問と云うものは先へ先へと行くだけで、どこまで行ったって際限はありゃしない。とうてい満足は得られやしない。そこへ行くと東洋流の学問は消極的で大に味がある。心そのものの修業をするのだから」
「えらい事になって来たぜ。何だか八木独仙君のような事を云ってるね」


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