GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 夏目漱石 『吾輩は猫である』
現代語化
「もういいでしょ。しんどいですよ」
「しんどくてもこれからちょっと稽古するんだ。大町桂月が飲めって言った」
「桂月って何?」
「桂月は今のすごい批評家だ。そいつが飲めって言ってるんだから間違いないよ」
「アホなこと言わないで。桂月だって、梅月だって、無理して酒を飲めなんて言うわけないでしょ」
「酒だけじゃないんだ。遊んだり、旅行したりしろって言った」
「最悪じゃん。そんな人が一流の批評家なの。呆れちゃった。家族がいる人に遊びを勧めるなんて……」
「遊びもいいさ。桂月が勧めなくても金があればやるかも」
「なくてよかった。今さら遊びなんて始めたら大変だよ」
「大変ならやめるよ。その代わり、もっと旦那さんを大事にして、夜に美味しい飯食わせろ」
「これが限界ですよ」
「そうかな。じゃあ遊びは金が入ってからにして、今日はこれでやめよう」
原文 (会話文抽出)
「もう一杯」
「もう御よしになったら、いいでしょう。苦しいばかりですわ」
「なに苦しくってもこれから少し稽古するんだ。大町桂月が飲めと云った」
「桂月って何です」
「桂月は現今一流の批評家だ。それが飲めと云うのだからいいに極っているさ」
「馬鹿をおっしゃい。桂月だって、梅月だって、苦しい思をして酒を飲めなんて、余計な事ですわ」
「酒ばかりじゃない。交際をして、道楽をして、旅行をしろといった」
「なおわるいじゃありませんか。そんな人が第一流の批評家なの。まああきれた。妻子のあるものに道楽をすすめるなんて……」
「道楽もいいさ。桂月が勧めなくっても金さえあればやるかも知れない」
「なくって仕合せだわ。今から道楽なんぞ始められちゃあ大変ですよ」
「大変だと云うならよしてやるから、その代りもう少し夫を大事にして、そうして晩に、もっと御馳走を食わせろ」
「これが精一杯のところですよ」
「そうかしらん。それじゃ道楽は追って金が這入り次第やる事にして、今夜はこれでやめよう」