夏目漱石 『吾輩は猫である』 「おい」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『吾輩は猫である』

現代語化

「おい」
「はい」
「その「はい」は感嘆詞か副詞かどっちだ?」
「どっちでもよくないですか?そんなバカげたこと」
「バカげたことじゃない。これが国語学者の頭を悩ませてる大問題なんだよ」
「えー、猫の鳴き声ですか?バカバカしい。だって猫の鳴き声は日本語じゃないでしょ」
「だからさ。それが難しい問題なんだよ。比較研究って言うんだ」
「へー」
「で、どっちか分かったんですか?」
「重要な問題だからそんなにすぐに分かるわけないよ」
「これは豚だな」
「はい豚でございます」
「ふん」
「もう一杯飲みましょうよ」
「今夜はなかなか帰らないね。もうかなり酔ってますよ」
「飲みますとも――あんた世界で一番長い字知ってますか?」
「ええ、前の関白太政大臣でしょう」
「それは名前だ。長い字を知ってるか?」
「字ってアルファベットですか?」
「うん」
「知りませんわ――お酒はもういいでしょう、ご飯を食べましょうよ」
「いや、まだ飲む。一番長い字を教えてやろうか?」
「いいですよ。そしたらご飯ですよ」
「Archaiomelesidonophrunicherataって字だ」
「嘘でしょ?」
「嘘じゃないよ、ギリシャ語だ」
「どういう字なの、日本語にすれば?」
「意味は知らない。綴りだけ知ってるんだ。長く書くと18センチくらいになる」

原文 (会話文抽出)

「おい」
「はい」
「そのはいは感投詞か副詞か、どっちだ」
「どっちですか、そんな馬鹿気た事はどうでもいいじゃありませんか」
「いいものか、これが現に国語家の頭脳を支配している大問題だ」
「あらまあ、猫の鳴き声がですか、いやな事ねえ。だって、猫の鳴き声は日本語じゃあないじゃありませんか」
「それだからさ。それがむずかしい問題なんだよ。比較研究と云うんだ」
「そう」
「それで、どっちだか分ったんですか」
「重要な問題だからそう急には分らんさ」
「これは豚だな」
「ええ豚でござんす」
「ふん」
「酒をもう一杯飲もう」
「今夜はなかなかあがるのね。もう大分赤くなっていらっしゃいますよ」
「飲むとも――御前世界で一番長い字を知ってるか」
「ええ、前の関白太政大臣でしょう」
「それは名前だ。長い字を知ってるか」
「字って横文字ですか」
「うん」
「知らないわ、――御酒はもういいでしょう、これで御飯になさいな、ねえ」
「いや、まだ飲む。一番長い字を教えてやろうか」
「ええ。そうしたら御飯ですよ」
「Archaiomelesidonophrunicherata と云う字だ」
「出鱈目でしょう」
「出鱈目なものか、希臘語だ」
「何という字なの、日本語にすれば」
「意味はしらん。ただ綴りだけ知ってるんだ。長く書くと六寸三分くらいにかける」


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