夏目漱石 『吾輩は猫である』 「箆棒に温るいや」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『吾輩は猫である』

現代語化

「くっそ暑い」
「これじゃ……もっと熱くしないと」
「やあ親方」
「やあ」
「民さんはどこ?」
「大好きだからじゃんじゃんやっちまってるよ」
「じゃんじゃんばっかりじゃねえ……」
「そうなんだよ。あいつも腹黒いヤツだからな。なぜか人に好かれない。なぜか信用してもらえない。職人ってのは、あんなんじゃダメなんだよ」
「そうよ。民さんて腰が低いんじゃなくて、頭が高いんだ。だから信用されないんだよな」
「本当に。腕があるつもりになってるから、損してるんだよね」
「白銀町でも老人が亡くなって、今は桶屋の元さんと煉瓦屋の大将と親方くらいしか残ってないよ。俺はここで生まれたけど、民さんってのはどこから来たのか分かんねえ」
「そうだよな。でもよくここまでなったよな」
「うん。なぜか人に好かれない。人が付き合わないからね」

原文 (会話文抽出)

「箆棒に温るいや」
「こりゃどうも……もう少し熱くなくっちゃあ」
「やあ親方」
「やあ」
「民さんはどうしたね」
「どうしたか、じゃんじゃんが好きだからね」
「じゃんじゃんばかりじゃねえ……」
「そうかい、あの男も腹のよくねえ男だからね。――どう云うもんか人に好かれねえ、――どう云うものだか、――どうも人が信用しねえ。職人てえものは、あんなもんじゃねえが」
「そうよ。民さんなんざあ腰が低いんじゃねえ、頭が高けえんだ。それだからどうも信用されねえんだね」
「本当によ。あれで一っぱし腕があるつもりだから、――つまり自分の損だあな」
「白銀町にも古い人が亡くなってね、今じゃ桶屋の元さんと煉瓦屋の大将と親方ぐれえな者だあな。こちとらあこうしてここで生れたもんだが、民さんなんざあ、どこから来たんだか分りゃしねえ」
「そうよ。しかしよくあれだけになったよ」
「うん。どう云うもんか人に好かれねえ。人が交際わねえからね」


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