夏目漱石 『吾輩は猫である』 「奥さん、先生のところへ水島寒月と云う人が…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『吾輩は猫である』

現代語化

「奥さん、先生のところに水島寒月って人が来ますか?」
「ええ、よく来られます」
「どんな人ですか?」
「とても頭の良い方だそうです」
「ハンサムですか?」
「ホホホホ、多々良さんくらいですよ」
「そうですか、僕くらいですか」
「どうして寒月の名前を知ってるの?」
「こないだある人から聞かされたんです。そんな話を聞くだけの価値のある人なんですか?」
「君よりずっと偉い人だよ」
「そうですか、僕より偉いんですか?」
「もうすぐ博士になるらしいよ」
「今、論文を書いてるそうです」
「やっぱり馬鹿ですね。博士論文なんて書いて。ちょっとはマシな話ができるかと思ったら」
「相変わらず、えらい見識ですね」
「博士になったら、誰それの娘と結婚するとかしないとか言ってたけど、そんなバカがいるか?娘をもらうために博士になるなんて。そんな奴にくれたって、僕にくれたほうがよっぽどマシだよ」って言ってやりました」
「誰に?」
「私に水島のことを聞いてくれって頼んできた人です」
「鈴木じゃないか?」
「いいえ、あの人にはまだそんなこと言ってません。向こうは偉い人ですから」
「多々良さんは陰で威張ってるのね。うちなんか来てると偉そうにしたりして、鈴木さんの前に行くと小さくなるでしょ」
「ええ。そうしないと、危ないんです」
「多々良、散歩に行こうか」

原文 (会話文抽出)

「奥さん、先生のところへ水島寒月と云う人が来ますか」
「ええ、善くいらっしゃいます」
「どげんな人物ですか」
「大変学問の出来る方だそうです」
「好男子ですか」
「ホホホホ多々良さんくらいなものでしょう」
「そうですか、私くらいなものですか」
「どうして寒月の名を知っているのかい」
「せんだって或る人から頼まれました。そんな事を聞くだけの価値のある人物でしょうか」
「君よりよほどえらい男だ」
「そうでございますか、私よりえらいですか」
「近々博士になりますか」
「今論文を書いてるそうだ」
「やっぱり馬鹿ですな。博士論文をかくなんて、もう少し話せる人物かと思ったら」
「相変らず、えらい見識ですね」
「博士になったら、だれとかの娘をやるとかやらんとか云うていましたから、そんな馬鹿があろうか、娘を貰うために博士になるなんて、そんな人物にくれるより僕にくれる方がよほどましだと云ってやりました」
「だれに」
「私に水島の事を聞いてくれと頼んだ男です」
「鈴木じゃないか」
「いいえ、あの人にゃ、まだそんな事は云い切りません。向うは大頭ですから」
「多々良さんは蔭弁慶ね。うちへなんぞ来ちゃ大変威張っても鈴木さんなどの前へ出ると小さくなってるんでしょう」
「ええ。そうせんと、あぶないです」
「多々良、散歩をしようか」


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