GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 夏目漱石 『吾輩は猫である』
現代語化
「鼻が利くでもいいだろ、寒波がもらっちゃえば」
「もらえばいいだって、お前こないだ大反対してたじゃん。今日はなんだよ、急に甘いこと言って」
「甘いじゃねえよ。俺は絶対甘くない。でも……」
「でもってなんだよ。なあ鈴木、お前も企業戦士の端くれだろ?参考までに聞いてもらいたいんだけどよ。あの金田ってやつがいるだろ。そいつの娘を、天下の秀才・水島寒月の嫁さんとして崇め奉るのって、ちょっと無理あると思うんだよ。友人としては見てられねえだろ?お前だってビジネスマンなんだから、そう思うよな」
「相変わらず元気だな。すごいよ。10年前からあんま変わってねえもん」
「元気って褒めるなら、もっと賢いところ見せんないとな。昔ギリシャ人はスポーツを大事にして、いろんな競技に景品出したりして応援してたんだぜ。でも不思議なのは、学者の知識には何もご褒美あげてないってことなんだ。俺ずっと不思議に思ってたんだけどさ」
「へえ、確かに変だね」
「それがよ、2、3日前に美学を勉強してたら、その理由がわかったんだ。長年の疑問が一瞬で氷解したような気分で、もう最高にスッキリしたんだよ」
原文 (会話文抽出)
「ちょっと乙だな、あんな者の子でも恋をするところが、しかし大した恋じゃなかろう、大方鼻恋くらいなところだぜ」
「鼻恋でも寒月が貰えばいいが」
「貰えばいいがって、君は先日大反対だったじゃないか。今日はいやに軟化しているぜ」
「軟化はせん、僕は決して軟化はせんしかし……」
「しかしどうかしたんだろう。ねえ鈴木、君も実業家の末席を汚す一人だから参考のために言って聞かせるがね。あの金田某なる者さ。あの某なるものの息女などを天下の秀才水島寒月の令夫人と崇め奉るのは、少々提灯と釣鐘と云う次第で、我々朋友たる者が冷々黙過する訳に行かん事だと思うんだが、たとい実業家の君でもこれには異存はあるまい」
「相変らず元気がいいね。結構だ。君は十年前と容子が少しも変っていないからえらい」
「えらいと褒めるなら、もう少し博学なところを御目にかけるがね。昔しの希臘人は非常に体育を重んじたものであらゆる競技に貴重なる懸賞を出して百方奨励の策を講じたものだ。しかるに不思議な事には学者の智識に対してのみは何等の褒美も与えたと云う記録がなかったので、今日まで実は大に怪しんでいたところさ」
「なるほど少し妙だね」
「しかるについ両三日前に至って、美学研究の際ふとその理由を発見したので多年の疑団は一度に氷解。漆桶を抜くがごとく痛快なる悟りを得て歓天喜地の至境に達したのさ」