夏目漱石 『吾輩は猫である』 「いつ出来たんだか覚えちゃいませんわ、禿な…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『吾輩は猫である』

現代語化

「いつできたのか覚えてないです。ハゲなんてどうでもいいじゃないですか」
「どうでもいいって、自分の頭だろ?」
「自分の頭だから、どうでもいいんです」
「おや、だいぶ大きくなったね。こんなにじゃなかった気がする」
「女は髷を結うと、ここが引っ張られて誰でもハゲるんです」
「そんなスピードでみんなハゲたら、40歳くらいになれば、みんなツルツルになっちゃうよ。それは病気でしょ。うつるかもしれないから、今のうちに早く甘木さんに診てもらった方がいいよ」
「そんなに人のこと言うけど、あなたも鼻の穴に白髪が生えてるじゃないですか。ハゲがうつるんなら白髪だってうつりますよ」
「鼻の中の白髪は目立たないからいいけど、頭が、特に若い女の頭がそんなにハゲちゃっては見苦しいよ。不細工だ」
「不細工なら、なんで結婚したんですか?好きで結婚しておいて、不細工だなんて……」
「知らなかったからだよ。本当に今日まで知らなかったんだ。そんなに偉そうに言うなら、なんで嫁に来る時、頭を見せなかったんだ?」
「バカなこと言わないで!どこにいるんですか、頭の試験に受かったら嫁に来るなんていう人が」
「ハゲはいいけど、お前の背は人並み外れて低いな。すごく見苦しいじゃないか」
「背は目を見ればすぐわかりますでしょ。背が低いのは最初からわかってて結婚したんじゃないですか?」
「それはわかってるさ。わかってるけど、まだ伸びると思って結婚したんだよ」
「20にもなって背が伸びるなんて、あなたって人をバカにしてるでしょ」

原文 (会話文抽出)

「いつ出来たんだか覚えちゃいませんわ、禿なんざどうだって宜いじゃありませんか」
「どうだって宜いって、自分の頭じゃないか」
「自分の頭だから、どうだって宜いんだわ」
「おや大分大きくなった事、こんなじゃ無いと思っていた」
「女は髷に結うと、ここが釣れますから誰でも禿げるんですわ」
「そんな速度で、みんな禿げたら、四十くらいになれば、から薬缶ばかり出来なければならん。そりゃ病気に違いない。伝染するかも知れん、今のうち早く甘木さんに見て貰え」
「そんなに人の事をおっしゃるが、あなただって鼻の孔へ白髪が生えてるじゃありませんか。禿が伝染するなら白髪だって伝染しますわ」
「鼻の中の白髪は見えんから害はないが、脳天が――ことに若い女の脳天がそんなに禿げちゃ見苦しい。不具だ」
「不具なら、なぜ御貰いになったのです。御自分が好きで貰っておいて不具だなんて……」
「知らなかったからさ。全く今日まで知らなかったんだ。そんなに威張るなら、なぜ嫁に来る時頭を見せなかったんだ」
「馬鹿な事を! どこの国に頭の試験をして及第したら嫁にくるなんて、ものが在るもんですか」
「禿はまあ我慢もするが、御前は背いが人並外れて低い。はなはだ見苦しくていかん」
「背いは見ればすぐ分るじゃありませんか、背の低いのは最初から承知で御貰いになったんじゃありませんか」
「それは承知さ、承知には相違ないがまだ延びるかと思ったから貰ったのさ」
「廿にもなって背いが延びるなんて――あなたもよっぽど人を馬鹿になさるのね」


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