GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 夏目漱石 『道草』
現代語化
「もう二度と伺わないって言ってますから」
「この間帰る時にもうそう言ってたんです」
「それで、ここで全部終わらせたらどうですか。そうしないとあなたがいつまでも迷惑しますよ」
「いくら未払い金があっても、迷惑じゃないです。どうせ世の中は未払い金だらけなんですから。もし迷惑だとしても、出すべきじゃないお金を出すくらいなら、出さずに迷惑を我慢したほうが、私にはずっと気が楽なんです」
「それにあなたも知ってるでしょうけど、離婚の時にあなたから島田に出した書面がまだ向こうにあるんですから、この際いくらかの慰謝料を渡して、その書面と交換したほうがいいんじゃないですか」
原文 (会話文抽出)
「その縁故で今度また私が頼まれて、島田さんのために上ったような訳合なんです」
「もう再び御宅へは伺わないといってますから」
「この間帰る時既にそういって行ったんです」
「で、どうでしょう、此所いらで綺麗に片を付ける事にしたら。それでないと何時まで経っても貴方が迷惑するぎりですよ」
「いくら引っ懸っていたって、迷惑じゃありません。どうせ世の中の事は引っ懸りだらけなんですから。よし迷惑だとしても、出すまじき金を出す位なら、出さないで迷惑を我慢していた方が、私にはよッぽど心持が好いんです」
「それに貴方も御承知でしょうが、離縁の際貴方から島田へ入れた書付がまだ向うの手にありますから、この際いくらでも纏めたものを渡して、あの書付と引き易えになすった方が好くはありませんか」