GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 夏目漱石 『道草』
現代語化
「だって、明らかに健ちゃんが思ってた人とは違う人が健ちゃんの前に現れてるんだから、健ちゃんの方が昔の考えを訂正するのが当たり前でしょ」
「本当に違う人になってたんなら、いつでも訂正するよ。でも、そうじゃないんだ。見た目だけが変わって、中身は昔のままなんだ」
「それがどうしてわかるの。新しい情報も何もないのに」
「健ちゃんにはわかんなくても、俺にはちゃんとわかるよ」
「ずいぶん独断的だね、健ちゃんも」
「批評が当たってれば、独断的でも構わないんだよ」
「でも、もし外れてたら迷惑する人がたくさん出てくるでしょ。あの老婆は私とは関係のない人だから、どうでもいいけどね」
原文 (会話文抽出)
「己が執拗なのじゃない、あの女が執拗なのだ。あの女と交際った事のない御前には、己の批評の正しさ加減が解らないからそんなあべこべをいうのだ」
「だって現に貴夫の考えていた女とはまるで違った人になって貴夫の前へ出て来た以上は、貴夫の方で昔の考えを取り消すのが当然じゃありませんか」
「本当に違った人になったのなら何時でも取り消すが、そうじゃないんだ。違ったのは上部だけで腹の中は故の通りなんだ」
「それがどうして分るの。新らしい材料も何にもないのに」
「御前に分らないでも己にはちゃんと分ってるよ」
「随分独断的ね、貴夫も」
「批評が中ってさえいれば独断的で一向差支ないものだ」
「しかしもし中っていなければ迷惑する人が大分出て来るでしょう。あの御婆さんは私と関係のない人だから、どうでも構いませんけれども」