GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 夏目漱石 『道草』
現代語化
「お姉さんはもう大丈夫ですか?」
「あぁ。喘息ってのは不思議だよな。あんなに苦しんでてもすぐ治るんだから」
「もう話せますか?」
「話せるどころか、もうよく喋ってますよ。いつもの調子で。――お姉さんは、島田がお縫さんのところに行って、調子に乗って帰ってきたんじゃないかって言ってるんだけど」
「まさか。それより、あいつだからあんな非常識なことを言ってくるんだと思う」
「そう」
「そうじゃなきゃ、きっと年を取って、みんなから邪魔者扱いされるんだろうって」
「やっぱり寂しいんでしょうね。でも、あいつの場合は、人情じゃなくて欲が寂しいんだ」
「なんでもお縫さんが金鵄勲章の年金をもらってるんだって。だから島田もどこかから貰わないと寂しくてたまらないんだろう。あいつはそれくらい欲張りだから」
原文 (会話文抽出)
「自分も兄弟だから他から見たらどこか似ているのかも知れない」
「姉さんはもう好いんですか」
「ああ。どうも喘息ってものは不思議だねえ。あんなに苦しんでいても直癒るんだから」
「もう話が出来ますか」
「出来るどころか、なかなか能く喋舌ってね。例の調子で。――姉さんの考じゃ、島田は御縫さんの所へ行って、智慧を付けられて来たんだろうっていうんだがね」
「まさか。それよりあの男だからあんな非常識な事をいって来るのだと解釈する方が適当でしょう」
「そう」
「でなければね。きっと年を取って皆なから邪魔にされるんだろうって」
「何しろ淋しいには違ないんだね。それもあいつの事だから、人情で淋しいんじゃない、慾で淋しいんだ」
「何でも金鵄勲章の年金か何かを御藤さんが貰ってるんだとさ。だから島田もどこからか貰わなくっちゃ淋しくって堪らなくなったんだろうよ。何しろあの位慾張ってるんだから」