夏目漱石 『道草』 「雌蝶も雄蝶もあったもんじゃないのよ貴方。…

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青空文庫図書カード: 夏目漱石 『道草』

現代語化

「雌も雄もダメだったのよ。そもそもお猪口のふちが欠けてたんだもん」
「それで三々九度やったの？」
「そう。だから夫婦仲が悪いのよ」
「健三もなかなか気難しいやつだから、お住さんも大変だろう」
「もう帰る頃だと思うんだけど」
「今日は待ってて、例の事件の話をしていかないといけないから……」

原文 (会話文抽出)

「雌蝶も雄蝶もあったもんじゃないのよ貴方。だいち御盃の縁が欠けているんですもの」
「それで三々九度を遣ったのかね」
「ええ。だから夫婦中がこんなにがたぴしするんでしょう」
「健三もなかなかの気六ずかしやだから、御住さんも骨が折れるだろう」
「もう帰りそうなものですがね」
「今日は待ってて例の事件を話して行かなくっちゃあ、……」

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