GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 夏目漱石 『道草』
現代語化
「いいから知らないふりをしてればいいじゃない。何度会ったって構わないでしょ」
「でもわざわざあたりをうろついて、私の家を探してるのか、それとも用があって通りがかりにたまたま会ったのか、それがわからないんです」
「こっちにはその後まったく来ないの」
「あーこの二、三年はまったくないですよ」
「それまでは?」
「それまではね、しょっちゅうってほどではないけど、それでもたまには来たんです。それがまた変なのが、来るときはいつも11時頃でね。うなぎ飯か何か食べさせないと絶対に帰らないんです。三度の食事をたとえ一食でも別の家で食べたいっていうのが、つまりあの人のお腹なんです。なのに服装は けっこういいの着てるんですけどね……」
原文 (会話文抽出)
「私ゃ島田に二度会ったんですよ、姉さん。これから先また何時会うか分らないんだ」
「いいから知らん顔をして御出でよ。何度会ったって構わないじゃないか」
「しかしわざわざ彼所いらを通って、私の宅でも探しているんだか、また用があって通りがかりに偶然出ッくわしたんだか、それが分らないんでね」
「こちらへはその後まるで来ないんですか」
「ああこの二、三年はまるっきり来ないよ」
「その前は?」
「その前はね、ちょくちょくってほどでもないが、それでも時々は来たのさ。それがまた可笑しいんだよ。来ると何時でも十一時頃でね。鰻飯かなにか食べさせないと決して帰らないんだからね。三度の御まんまを一かたけでも好いから他の家で食べようっていうのがつまりあの人の腹なんだよ。そのくせ服装なんかかなりなものを着ているんだがね。……」