GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 夏目漱石 『明暗』
現代語化
「でもそうじゃないらしいんだ。お秀さんの話を聞くと」
「でもお前って奴は、細かいことに気を配りすぎてどこか抜けてるな。あんまり気を遣いすぎると、逆にうまくいかないこともあるんだ。今回のことだって、そうじゃないか。まずお前の立場からしてお秀さんを怒らせるのはナンセンスだ。それから怒らせた以上、吉川方に突撃するのは愚の骨頂だ。その上吉川方へ行くはずがないと思い込んで、最初から高を括ってるなんて、お前の普段の性格にも似合わないじゃないか」
「そもそもお前の父ちゃんと吉川は友達だろ。そうしてお前のことは父ちゃんから吉川に頼んであるんだろう。そしたらお秀さんが駆け込むのは当然じゃないか」
「年寄りに心配をかけるな。お前が東京で何をしているか、こっちだってちゃんと分かってるんだから、もし不都合があったら、京都に連絡すればいいだけだ。気をつけろよ」
原文 (会話文抽出)
「ただ訪問のために行っただけだろう。単に敬意を払ったんだろう」
「ところがそうでないらしいんだ。お秀さんの話を聴いていると」
「しかし君という男は、非常に用意周到なようでどこか抜けてるね。あんまり抜けまい抜けまいとするから、自然手が廻りかねる訳かね。今度の事だって、そうじゃないか、第一お秀さんを怒らせる法はないよ、君の立場として。それから怒らせた以上、吉川の方へ突ッ走らせるのは愚だよ。その上吉川の方へ向いて行くはずがないと思い込んで、初手から高を括っているなんぞは、君の平生にも似合わないじゃないか」
「いったい君のファーザーと吉川とは友達だろう。そうして君の事はファーザーから吉川に万事宜しく願ってあるんだろう。そこへお秀さんが馳け込むのは当り前じゃないか」
「年寄に心配をかけてはいけない。君が東京で何をしているか、ちゃんとこっちで解ってるんだから、もし不都合な事があれば、京都へ知らせてやるだけだ。用心しろ」