夏目漱石 『明暗』 「大変な権幕だね。まるで詰問でも受けている…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『明暗』

現代語化

「すごい剣幕だね。まるで取り調べを受けてるみたい」
「ごまかさずに、ちゃんと答えてください」
「言ったらどうするんだ?」
「私はあなたの妹です」
「それでどうしたっていうんだ?」
「兄さんはドライじゃないからダメよ」
「なんか話がすごく難しくなってきたけど、お前ちょっと勘違いしてないか?俺はそんな深い意味で小林の話をしたわけじゃないんだよ。ただあいつは俺の留守にお延に会って何か言うかもしれない厄介な男だってだけだよ」
「それだけの理由なんですか?」
「うん、それだけです」
「でも兄さん、もし堀さんがいない留守に誰かが私のところに来て何か言ったら。それで堀さんが知って心配すると思ってらっしゃるんでしょ」
「堀さんのことは俺には分からないよ。お前は心配しないって言い切れるかもしれないけどさ」
「はい、言い切ります」
「ま、いいよ。で?」
「私もそれだけよ」

原文 (会話文抽出)

「大変な権幕だね。まるで詰問でも受けているようじゃないか」
「ごまかさないで、ちゃんとしたところをおっしゃい」
「云えばどうするというんだい」
「私はあなたの妹です」
「それがどうしたというのかね」
「兄さんは淡泊でないから駄目よ」
「何だか話が大変むずかしくなって来たようだが、お前少し癇違をしているんじゃないかい。僕はそんな深い意味で小林の事を云い出したんでも何でもないよ。ただ彼奴は僕の留守にお延に会って何をいうか分らない困った男だというだけなんだよ」
「ただそれだけなの」
「うんそれだけだ」
「だけど兄さん、もし堀のいない留守に誰かあたしの所へ来て何か云うとするでしょう。それを堀が知って心配すると思っていらっしって」
「堀さんの事は僕にゃ分らないよ。お前は心配しないと断言する気かも知れないがね」
「ええ断言します」
「結構だよ。――それで?」
「あたしの方もそれだけよ」


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