夏目漱石 『明暗』 「昔から陰陽和合っていうじゃありませんか」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『明暗』

現代語化

「昔から陰陽和合って言いませんか?」
「ところが陰陽和合が必然である一方で、その反対の陰陽不和もまた必然なんだから面白いじゃないか」
「どうして?」
「分かるかい。男と女が引っ張り合うのは、お互いに違うところがあるからだ。さっき言った通り」
「ええ」
「じゃあその違うところは、つまり自分じゃないってことだろう。自分とは別物だろう?」
「ええ」
「それほらね。自分と別物なら、どうしたって一緒にいられないじゃないか。いつまで経っても、離れてるしかしょうがないじゃないか」
「でもそれは理屈でしょ」
「もちろん理屈さ。どこに出しても立派に通る理屈さ」
「ダメよ、そんな理屈は。なんか変よ。ちょうど藤井の叔父さんが振り回しそうな屁理屈よ」

原文 (会話文抽出)

「昔から陰陽和合っていうじゃありませんか」
「ところが陰陽和合が必然でありながら、その反対の陰陽不和がまた必然なんだから面白いじゃないか」
「どうして」
「いいかい。男と女が引張り合うのは、互に違ったところがあるからだろう。今云った通り」
「ええ」
「じゃその違ったところは、つまり自分じゃない訳だろう。自分とは別物だろう」
「ええ」
「それ御覧。自分と別物なら、どうしたっていっしょになれっこないじゃないか。いつまで経ったって、離れているよりほかに仕方がないじゃないか」
「だけどそりゃ理窟よ」
「無論理窟さ。どこへ出ても立派に通る理窟さ」
「駄目よ、そんな理窟は。何だか変ですよ。ちょうど藤井の叔父さんがふり廻しそうな屁理窟よ」


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