夏目漱石 『明暗』 「じゃ延子さんどんな心配があるの。少し話し…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 夏目漱石 『明暗』

現代語化

「じゃお延さんはどんな心配があるの。ちょっと話してよ」
「心配なんてないわ」
「ほらご覧。あなただってやっぱり気楽じゃないの」
「確かに気楽よ。でもあなたの言う気楽さとは少し違うのよ」
「どうして?」
「そのうち分かるわ」
「でもお延さんと私は3つしか違わないのよ」
「年齢だけじゃないのよ。環境の変化もあるわ。娘が人のお嫁さんになるとか、奥さんが旦那さんを亡くして未亡人になるとか」
「お延さんはおうちにおられた時と、由雄さんのところに行ってから、どちらが気楽なの?」
「それは……」
「今の方が気楽なんでしょ。ほら」
「そうばかりでもないわ。だって」
「だってあなたがご自分で望んでお嫁に行ったんでしょ、津田さんには」
「ええ、だから私は幸せよ」
「幸せでも気楽じゃないの?」
「気楽なところもあるわ」
「じゃあ気楽な部分はあるけど、心配もあるの?」
「そうリアさんみたいに詰め寄られると、もう無理だわ」
「詰め寄るつもりじゃないんだけど、分からないから、ついそうなるのよ」<ctrl100>

原文 (会話文抽出)

「じゃ延子さんどんな心配があるの。少し話してちょうだいな」
「心配なんかないわ」
「そら御覧なさい。あなただってやっぱり気楽じゃないの」
「そりゃ気楽は気楽よ。だけどあなたの気楽さとは少し訳が違うのよ」
「どうしてでしょう」
「今に解るわ」
「だけど延子さんとあたしとは三つ違よ、たった」
「ただ年齢ばかりじゃないのよ。境遇の変化よ。娘が人の奥さんになるとか、奥さんがまた旦那様を亡くなして、未亡人になるとか」
「延子さんは宅にいた時と、由雄さんの所へ行ってからと、どっちが気楽なの」
「そりゃ……」
「今の方が気楽なんでしょう。それ御覧なさい」
「そうばかりにも行かないわ。これで」
「だってあなたが御自分で望んでいらしった方じゃないの、津田さんは」
「ええ、だからあたし幸福よ」
「幸福でも気楽じゃないの」
「気楽な事も気楽よ」
「じゃ気楽は気楽だけれども、心配があるの」
「そう継子さんのように押しつめて来ちゃ敵わないわね」
「押しつめる気じゃないけれども、解らないから、ついそうなるのよ」


青空文庫現代語化 Home リスト